ベルリンからポツダムに入る方法は大きく分けて2つある。1つはオーソドックスに鉄道で行く場合だ。モダンなポツダム中央駅で降り、徒歩かトラムでハーフェル川に架かるLange Brückeという大きな橋を越えると、この風景が目に飛び込んでくる。
近くに寄ってみると、昔ここにあった建物の地下部分ということがわかる。巨大な遺跡現場だ。初めて見た時、これは一体何だろうと、私は写真を撮りまくった。
このAlter Marktという広場には、かつて王宮があった。かのフリードリヒ大王の時代の1744年から51年にかけて、建築家クノーベルスドルフの設計によって建てられたバロック様式の王宮である。第2次世界大戦末期に爆撃を受け、1959年に東独政府によって爆破された。このあたりの経緯は、ベルリンの王宮と非常によく似ている。
それがこの度、オリジナルの様式に倣って再建されることになった。完成の暁には、現在、中央駅南側の丘の上にあるブランデンブルク州議会が、ここに移る予定だ。とはいえ、ベルリン王宮の再建同様、再建方法や使用用途をめぐって、そこに至るまで長い道のりがあった。歴史的な王宮を再建するとなると、当然大変な費用がかかる。そのため、一旦はモダン建築にすることで決まったのだが、市民団体をはじめそれに対する反対の声も強かった。こういう状況の中、Hasso Plattnerというソフトウェア会社が2000万ユーロという巨額の寄付を申し出たことで、王宮再建の方向に一気に傾くことになったのである。
2008年12月4日の様子。正面のドームは、19世紀前半シンケルが設計したニコライ教会。ローマのサン・ピエトロ大聖堂をモデルにしたものらしい。左隣のDDR時代に建てられたプラッテンバウは、今となっては何ともみすぼらしい。ニコライ教会の右隣の覆いがかぶさっているのが、旧市庁舎。
ほぼ同じアングルから、2009年10月9日の撮影。旧市庁舎の覆いが外され、よく見えるようになった。
しばらくの間ずっと工事中だったトラムの路面も最近新しくなった。ポツダムの王宮再建は間もなく始まり、2013年には完成する予定。ベルリンだけでなく、ポツダムもいま大きく変わろうとしている。
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はじめまして。
昨年11月に3日間ですがベルリンを旅行しました。ベルリンへ行くことは急に決めたこともあってありきたりのところをまわっただけでした。今、こちらのブログの様々な情報を拝見して、もっと面白いところがたくさんあったのだなと感じました。これからも楽しみにさせていただきます。
ところで、ポツダムですが一体何を工事しているのかと思ったら王宮再建だったのですね。個人的な話ですがHasso Plattner氏のソフトウェア会社とは関係が深いので興味深く思いました。2013年にはポツダムを再訪し完成した姿をみたくなりました。
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reisigfeldさん
はじめまして、コメントありがとうございます。
ポツダムの王宮再建は、ベルリンほど注目は集めていませんが、同じ歴史に端を持つ建造物だけに、今後の展開に注目しています。
>Hasso Plattner氏のソフトウェア会社とは関係が深いので
そうなのですか。1つの企業の寄付によって、物事が大きく動いたことにも驚きました。
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Hasso Plattnerですかぁ・・・さすがですね。ちまみに彼の設立したソフトウェア会社とはSAPです。従業員約5万人、年間売上高100億ユーロ規模の大企業。wikiによるとポツダム大学でソフトウェア研究所を立ち上げ、費用を完全に賄っているそうです。ポツダムとはご縁があるようですね。
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キートスさん
王宮再建を実現させてしまう会社となると、やはりすごいのですねえ・・・。