『素顔のベルリン』が大学の教科書に

このブログを通じて知り合った徳島大学の総合科学部助教の弘田陽介さんが、今年度の新しい授業「人間と生命 / 記憶の場の教育学 記憶の都市/都市の記憶 ベルリン」にて拙著『素顔のベルリン』を教科書として使ってくださることになりました。とてもうれしいことだったので、ここに紹介させていただきます(以下は授業シラバスより)。
人間と生命 / 記憶の場の教育学 記憶の都市/都市の記憶 ベルリン
Humanity and Life / The Pedagogical Thought on Berlin –Approach to the City with Merories
助教・弘田 陽介 2単位  火(9・10) 全
授業の目的
ベルリンの壁崩壊・ドイツ統一から約20年,ヨーロッパの「工事現場」と呼ばれ続け,変貌めざましいベルリン.この都市にはまさにドイツのみならず世界史の記憶が塗り込められている.また近年,そのような「都市の記憶」を呼び覚ますような場も多く設営されている.そのような記憶の場によって伝えられていくもの,教育されていくものを,その場に即して具体的に,そして思想史として読み解くことをこの講義の目的とする.
授業の概要
ベルリンについての詳細で最新のガイドブック(『素顔のベルリン∼過去と未来が交錯する12のエリアガイド∼』)と,NHK教育で放映されたドイツ語番組『ベルリン再発見!』を中心に,様々な関連文献(日本語およびドイツ語)を読んでいく.ベルリンについての概要・歴史といった情報はもちろんのこと,近年研究が進められている「記憶の場」論についての文献を紹介することで,その場所に込められた意味の多層性を受け取っていく. 加えて,ドイツにおける歴史教育や平和教育などの試みも紹介し,日本におけるそれとの比較を通して,歴史をどのように伝えていくのかについての考察を深めていきたい.
キーワード
記憶の場,ベルリン,歴史教育,都市の教育学
受講者へのメッセージ
講義形式の授業ですが,皆さんと関心を共有するために,授業内でいくつかの探索・調査などを一緒に行ってもらいます.
到達目標
1.都市と記憶についての理論を丁寧に読解しながら,その理解をベルリンという具体的な場所に照らして確認いくこと,そして,そのような研究方法を通して,私たちが生きている都市を新たな目で解釈していくことを目標とする.
授業の計画
1.導入 ベルリンという場所
2.記憶の場の教育学という概念について
3.ベルリンの歴史 近代
4.ベルリンの歴史 第二次世界大戦まで
5.ベルリンの歴史 冷戦
6.ベルリンの歴史 冷戦以後
7.ベルリンにおける複数の生活の場
8.ベルリンの現状 オスタルギーについて
9.ベルリンの中の日本
10.ドイツの歴史教育
11.建築・デザインの教育学
12.音楽・芸術の教育学
13.レポートの書き方
14.まとめ
15.レポートの発表と提出
16.総括授業
成績評価の方法
小発表など授業への取り組みを評価(60点).学期末レポート(40点).
再試験の有無

教科書
中村真人著 『地球の歩き方 GEM STONE 037 素顔のベルリン∼過去と未来が交錯する12のエリアガイド∼』
弘田先生とは、「このブログとも連携して、よりインタラクティヴな授業にできたら」ということを話しています。また、龍谷大学文学部哲学科教育学専攻でも、同様の方向性のドイツ語講読を行うそうです。
私にとってはまったく未知のことですが、かれこれ5年近く続けてきたこのブログは私にとっても大きな「学びの場」になっているので、弘田先生の授業と連携して何ができるか、とても楽しみにしているところです。
(追記)
私が早とちりをしてしまいまして、その後弘田先生からいただいたメールによると、この授業は4月開講ではなく、後期(10月から)に行われるそうです。



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14 Responses

  1. IMOS
    IMOS at · Reply

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    この授業受けたい!!ベルリンから学べることはいっぱいあるよね、確かに。勉強になりそうです。
    しかもテキストが「素顔のベルリン」!いいなー。学生時代、教授が出している本を無駄に買わされたりしたけど(使用テキストになってたから真面目に買ったのに、結局授業では一回も使わず)学べるガイドブック、すごい。

  2. Jasmine
    Jasmine at · Reply

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    私も受けてみたいなぁ・・・
    社会人になって世界を、歴史をちゃんと見られるようになって初めてちゃんと勉強していたらなぁと後悔してしまいます・・・
    今独学で世界史を洗い直している感じかしら
    学生さん達にもベルリンが歩んできた過去と未来について考えて学んで欲しいですね!

  3. nobertrompete
    nobertrompete at · Reply

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    とても興味のある授業ですね。
    僕の親戚の伯父もその大学で教授をしているのでなんとなく親近感を感じます。
    僕もこの本欲しいです~!

  4. 第三市民
    第三市民 at · Reply

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     全く学術的でない雑な内容の書籍と資料類ですが、この徳島大学の総合科学部助教の弘田陽介さんなら、私の旧東ドイツやそれに関連するユダヤ・ナチス関連蔵書を無償で受け取って頂けそうでしょうか?
     あなたに関係ない問い合わせになりましたが orz アドバイスをお願いいたします。

  5. ゆうじ
    ゆうじ at · Reply

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    これはすごい展開だね!
    おめでとう!

  6. MadameEarlGray
    MadameEarlGray at · Reply

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    面白い展開になってきましたね。Jasmineさんが書いていらっしゃるように、私もいい歳になって初めて、歴史をちゃんと勉強したいと思うようになりました。歴史って、古代から始めるからみんな興味を持てないんだと思うんですよね。「今」から始めたら俄然面白いと思います。うちの息子の通っていた小学校は、沖縄戦から世の中を考える、みたいな授業を6年生の時にやっていて、「面白いな〜。私もこういう授業を受けたかった」と思いました。先月ベルリンに行く飛行機の中で【戦争の世紀を超えてーその場所で語られるべき戦争の記憶がある】 (姜 尚中・森 達也著/集英社文庫) を読んだのですが、たまたまベルリンのことも書いてあり、中村さんの【素顔のベルリン】と併せ、今回のベルリンへの旅をとても深いものにしてくれたと思います。今立っているその場所から物事を考えるって、凄く大事なことだと思うし、それを実践しているのがベルリン市民なのかも、と思いました。
    まあ、海外のように、歳を取っても勉強がしたくなったらまた大学に入ってもいいわけですよね。・・徳島大学はちょっと遠いけど・・。

  7. tsu-bu
    tsu-bu at · Reply

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    こんな授業私も聴講したいです!「素顔のベルリン」は素晴らしいテキストになると思います。「記憶の場」っていい言葉ですね。耳を澄ますと過去からの声が聞こえてきそうな感じです。
    マサトさんのお仕事の幅がまた少し広がったのではないでしょうか。

  8. tsu-bu
    tsu-bu at · Reply

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    こんな授業私も聴講したいです!「素顔のベルリン」は素晴らしいテキストになると思います。「記憶の場」っていい言葉ですね。耳を澄ますと過去からの声が聞こえてきそうな感じです。
    マサトさんのお仕事の幅がまた少し広がったのではないでしょうか。

  9. uhland
    uhland at · Reply

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    すごいですね!おめでとう〜☆☆

  10. uhland
    uhland at · Reply

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    すごいですね!おめでとう〜☆☆

  11. キートス
    キートス at · Reply

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    す、凄すぎますよ。その授業に、出席したいくらい面白そうで、まさとさんの本はピッタリの教材だと思いますね。おめでとう!

  12. キートス
    キートス at · Reply

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    す、凄すぎますよ。その授業に、出席したいくらい面白そうで、まさとさんの本はピッタリの教材だと思いますね。おめでとう!

  13. berlinHbf
    berlinHbf at · Reply

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    皆さん
    たくさんのコメントをお寄せいただき、ありがとうございます!
    (追記)で書いた通り、この授業は10月からなのですが、ブログの読者の方にも何らかの形で関わりが持てる授業になればなあと願っています。進展についてはまたお知らせしますね。

  14. berlinHbf
    berlinHbf at · Reply

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    皆さん
    たくさんのコメントをお寄せいただき、ありがとうございます!
    (追記)で書いた通り、この授業は10月からなのですが、ブログの読者の方にも何らかの形で関わりが持てる授業になればなあと願っています。進展についてはまたお知らせしますね。

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