先日、ミッテを歩いていたら、東の時代のこんな車に出会い、思わず写真を撮ってしまいました。トラバントは今や多くの人に知られていますが、この車の知名度は大分低いのでは。ヴァルトブルク(Wartburg)といって、東ドイツ時代はトラバントよりワンランク上だった「高級車」です。
車に詳しくない私が、これを見てすぐに「ヴァルトブルクだ!」とわかったのも、昨年秋に出たこの本のお陰。『ニセドイツ ≒東ドイツ製品』(伸井太一著。社会評論社)というちょっと変わったタイトルの本で、Vol.1では、東ドイツの工業製品や都市のシンボル的なものを写真付きで紹介しています。車、バイク、鉄道、自転車、飛行機、カメラ、テレビ、集合住宅など、テーマは驚くほど多岐に渡ります。
同時発売のVol.2では、生活用品がテーマ。こちらも食べ物から、歯磨き粉、トイレットペーパー、ファッション雑誌、ポルノ、テレビゲームに至るまで、よくここまで集めたものだと感心しました。ほとんど全てのページで駄洒落を織り込んだサブカル系の軽妙なタッチで書かれていますが、筆者の伸井太一さん(実は個人的にも存じ上げている方です)はドイツ現代史の専門家でもあるだけに、各項目の記述は執拗かつ正確です。
冒頭のヴァルトブルクですが、『ニセドイツ』での次のページをめくったら、思わず「おお!」と声を上げてしまいました。4年前に北駅の前でたまたま見付け、あれは何だろうと気になっていた車の正体が突然わかったからです。やはりDDR時代のバルカス(Barkas)という名のワゴン車。一般的な輸送のみならず、秘密警察の輸送車としても使われていたことも知りました。
『ニセドイツ』は、前書きに書かれている通り「カタログ式の読み物」なので、私自身最初から最後まで読み通すというよりは、折に触れ眺めては「ほー」と驚き、時には呆れ、調べもの等にも活用させてもらっています。本の帯の言葉を借りると「勝手に東ドイツ国営企業カタログ」。今は亡き国家を知り、そこでの生活を(時に笑いながら)追体験できる貴重な2冊といえるでしょう。
伸井さんによると、現在第3弾の執筆中だそうで、完成を楽しみに待ちたいと思います。
SECRET: 0
PASS:
どうも丁寧にご紹介していただきありがとうございます。
中村さんの『素顔のベルリン』、とても参考になります。今後の企画で引用させていただきますので、よろしくお願いいたします。またベルリンでお会いしましょう。今度は、5月末に渡独です。
SECRET: 0
PASS:
nobyさん
いえいえ、発売から大分経ってしまいましたが、ようやくここでご紹介できてよかったです。売り上げもなかなか好調なようで、何よりですなあ。またお会いしましょう!
SECRET: 0
PASS:
お久しぶりです。
実はこの本、まだ読んでないんですよね。気になってはいるものの、日本にいないとなかなか手に入りませんね。
ということで、詳しい紹介ありがとうございます!
SECRET: 0
PASS:
Kensukeさん
どうもお久しぶりです。新天地での生活はいかがですか。
海外にいると日本語の本にどうしても飢えを感じますよね。
(電子書籍とかで)もう少し気楽に読めるようになればいいのだけど、日本の出版界は旧態依然だからなあ。これからどうなるのでしょう。