Kさんからお借りした写真の中には、ベルリンの壁を写したものが何枚か含まれていた。その中でも私が気になったのはこの1枚。手前から奥に続く、建物の廃墟が何かの遺跡のように見え、興味を引かれた。「ブランデンブルク門からそう遠くない場所だったと思います」というようなことをKさんはおっしゃっていたが、あの近くにこんな場所があっただろうか。実は、この写真をお借りしたのは、ここにアップすればベルリンに詳しい読者のどなたかがひょっとしたら何か教えてくれるかもしれない、という期待があったからだった。
結局決め手になったのはこの1枚だった。この場所には見覚えがある。手元にある「Wo die Mauer war」という写真集から見当をつけてめくってみたら、案の定同じ場所からの風景がでてきた。ここは、ベルナウアー通りとエバースヴァルダー通りの境にある見晴し台である。左上の店の看板「Klub der Volkssolidarität」(人民連帯組織クラブ)も本の写真と同じだ。よって、右手に続く通りは、いまはおしゃれな通りとして知られるオーダーベルガー通りということになる。
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だとすれば、同じ見晴し台からのこの風景は、シュヴェーター通りに違いない。ここは中心部からは少し離れるし、ブランデンブルク門から普通は歩く距離ではない。Kさんらはバスのツアーで行かれたのかもしれない。
関連記事:(東側から見たこの見張り台の様子)
壁とタイムカプセル (2007-10-04)
こんな写真も見せてくださった。Deutsche Postの仮設の郵便局が面白い。これも中心部らしいのだが、どなたかこの場所をご存知の方、いるでしょうか。
コンサートマスターの隣で弾いているのがKさん。早稲田大学交響楽団がカラヤンコンクールで優勝した後、受賞したオーケストラのメンバーから成る特別編成のオケが組まれ、その本番に向けたリハーサルの様子だという(Kさんによると、後ろで弾いているのは音大の上手な学生ばかりで、恐縮したそうだ)。このコンサートは、カラヤンが振ることになっていたのだが、急病のためそれは実現しなかった。だが、カラヤンはその翌年来日した際、ワセオケのために公開リハーサルをしてくれ、コンクール優勝を機に海外への演奏旅行が実現するようになった。私が1998年に初めてベルリンに来たのもその演奏旅行だったし、その時の強烈な体験が今ベルリンに住んでいることへつながっていると思うと、32年前のKさんたちの活躍に感謝したくなる。
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オーダーベルガーの見晴らし台。以下の写真と符号しますね。
http://www.berlin.de/geschichte/historische-bilder/suche/index.php?popup&place=Bernauer+Stra%C3%9Fe&page=11
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伸井さん
貴重な写真のご紹介ありがとうございます!やはりここからの眺めだったことが、これではっきりしました。今日は久しぶりでしたね。またお会いしましょう。
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大変貴重な写真をありがとう。僕も一番上はBernauer Strasseにしか見えません。1978年にまだ家の壁が残っていたとは意外です。
Deutsche Postは可愛いですね。道の幅と、背景の左端にある四角い建物を見ると、Leipziger Strasseかな、と思います。この四角い建物、今は高層マンションに囲まれているのですが、それは1982年に完成されたらしいから、この写真には載っていないかもしれません。今はMultipolsterっていう家具屋さん入っていますから、いつか確認してみてください。
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西ベルリンという言葉を久しぶりに聞きました。
ドイツの郵便局というか郵便のカラーは黄色ですか?
驚きです。
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キートスさん
貴重なご指摘ありがとうございます。
>今はMultipolsterっていう家具屋さん入っていますから、
なるほど、地図で確かめたところによるとLeipziger Straße 42にあるお店ですね。今度行って確かめてみようと思います。ただ、Kさんらはこの時東側には行っていないはずなので、そこをどう説明するか、でしょうか。
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のるどさん
はい、ドイツの郵便のカラーは黄色で、ポストホルンがシンボルマークです。
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郵便局のカラーは東西ともに黄色ですが、東の郵便の正式名称は"Deutsche Post"に対し、西では"Deutsche Bundespost"(「ドイツ連邦郵便」)でしたので、その写真は東ベルリンで撮ったに違いありません。
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キートスさん
これは知りませんでした!色といい、ロゴのデザインといい、僕はてっきり西のドイツポストかと思っていました。
>その写真は東ベルリンで撮ったに違いありません。
なるほど、そこからそういう判断が可能なのですね。勉強になりました。
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ま、背景の赤い旗も大きなヒントですよね・・・
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キートスさん
なるほど、あれはソ連の赤旗ですか?見るところが細かい!
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こんにちはー! 先日お会いした者です。
Oderberger Str. 、うちから近いんで、今日ちょうど通りました。マウワーパークでゴロゴロしたあと、Oderbergerでアイス食べたんですが、この写真を見てから行ったので、感慨深かったですね…。あの通り、今はカフェやブティックが多くて、活気がありますもんね。
「ベルリン 記憶を巡る旅」(だったかな)という本に、「Oderberger Str.には、壁を抜けるためのマンホールがあった」ということが書いてあって、数年前にマンホールの写真を撮りにいったことがあります。インド料理屋さんの前のマンホールだったかな。
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みづさん
レスが遅くなってしまいごめんなさい!
先日はありがとうございました。
この辺りにお住まいとはいいですね。本当に、僕がベルリンに来た10年前に比べても、この辺りの変貌ぶりは著しいです。当時、もっと写真を撮っておけばよかったなと思いますね。トンネルを掘って壁を越えようとした話は有名ですよね。映画にもなっているので、今度ゆっくり見て、その現場も歩いてみたいと思います。
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こんにちは。以前の記事で恐れ入りますが、西ベルリン1・2ともに当時の独特の雰囲気が伝わってとても興味深く拝見しました。私たちのベルリン公演の礎を築いてくださった大先輩のお話には胸が熱くなりました。
ところで、どこに書けばいいか分からずここへのコメントで失礼しますが、フィッシャー+ブダペスト祝祭管と今日本を周っているヴァイオリニスト:ヨーゼフ・レンドヴァイ氏へのインタビュー記事、中村さんが書かれたのですね!東条碩夫さんのblog(http://concertdiary.blog118.fc2.com/blog-entry-770.html)で、プログラムのインタビュー執筆者としてお名前が挙がっていたので。彼らのツアーは残念ながら聴きに行けないのですが、インタビュー記事読んでみたかったです。
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mamebitoさん
やはりワセオケの方からのコメント、うれしいです。「私たちのベルリン公演の礎を築いてくださった」、本当にそうですものね。
ところで、ヨーゼフ・レンドヴァイ氏へのインタビュー記事のこと、教えてくれてありがとうございます。早速東条さんのブログを拝見しましたが、好意的な評を書いてくださって、大変うれしく思っています。2月にレンドヴァイ氏がブランデンブルクのオケと共演した時にインタビューさせてもらったんです。来日公演も、既定のブラームスの枠に入りきらない楽しい演奏だったようで、このブログでも事前に紹介しておけばよかったなあと、ちょっと後悔しています。