Einstein on the Beach

「海辺のカフカ」みたいなタイトルだが、昨夜観たフィリップ・グラスとロバート・ウィルソンによる現代オペラの題名。一緒に観た友達によると、「伝説的なコンビによる伝説的な作品」とのことだが、私は実は知らなかった。初演は1976年、アメリカにて。今年はアインシュタインが相対性理論を発表してから100年という、「アインシュタイン・イヤー」のため、それに合わせた新演出のようだ。
20時から始まって、休憩なしの4時間はきつかったが、最後まで観る価値はあった。
オペラといっても伝統的なオペラとは似て非なるものである。アレクサンダー広場から程近い、東の教会での上演だったのだが、椅子は取り払われ、客席と舞台との境界は全くない。聴き手は上演中も自由に場所を変えながら、適当なところに座るか、立って聴くことになる。ビールを飲みながらでもいいし(私)、仰向けになってぼーっと聴いている人もいた。コスチュームをまとった約10人の男女が、数箇所に設置された吊り上げ式のモニターに映る暗号のような楽譜と指揮者の映像に合わせて、歌ったり踊ったり、これも頻繁に場所を変える。時折アインシュタインの引用文が読み上げられる。フィリップ・グラスのミニマル音楽は今聴いても十分に鮮烈。クールではあるのだが、高揚感もあり、音のシャワーを浴びているかのような気持ちよさ。舞台は最後、宗教の秘蹟のようなものが始まって、女性の一人が空中に吊り上げられていく。多分にユートピア的な作品だった。お客さんの年齢層は意外と高く、それでも途中で帰る人はほとんどいなかったように思う。
コンサートや舞台の感想は、しっかり書こうとすると途中で挫折する恐れがあるので、よっぽどよかったもの以外は簡潔に記そうと思います。



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2 Responses

  1. Kazuhiro Suzuki
    Kazuhiro Suzuki at · Reply

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    はじめまして.
    僕は1992年に日本で初演されたものを見ました.
    あの感動は忘れられません.ブログを拝見すると,
    当時のものとは演出がより凝ったものになっているようですね.

    また日本で見られることを期待しています.

  2. berlinHbf
    berlinHbf at · Reply

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    >Kazuhiro Suzukiさん
    はじめまして。大分昔の記事へのコメント、ありがとうございます。
    このオペラの日本初演をご覧になっているとは貴重ですね。
    3年前の蒸し暑い夜に観たのが懐かしくなりました。コメントはまたいつでもお気軽にどうぞ。

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