ウジェーヌ・アジェ回顧展

今日は別のことを書こうと思っていたのですが、ゆっくり書く時間がないのと、でも寝る前に何か書きたいということでこの話題を選びました。いや、アジェという人についてはもっとゆっくり書きたいのですが、マルティン・グロピウスバウでのこのすばらしい回顧展がもうすぐ終わってしまうので(1月6日まで)、それだけでもまずお伝えしなければと思ったのです。
ウジェーヌ・アジェ(1857-1927)の生誕150年を記念したこの展覧会は、パリのBibliothèque nationale de Franceとの共催で、これだけの規模の回顧展はドイツでは初めてだそうです。大学時代に写真史の授業を取ったことがありアジェの名前は大分前から知っていましたが、今回初めて作品の全貌に触れ、パリをそして大都市をこんな風に写した人がいたのかと圧倒される思いでした。
パリといっても、エッフェル塔や凱旋門を写した写真はここには1枚もありません。では何が被写体になっているかというと、細い通り、薄暗い中庭、古いアパート、人の気配のない商店、室内や階段の装飾、荷車、郊外の自然、街角の物売りたちなど、いわば都市の「細部」をとらえた写真が大部分です。いずれもすばらしいのですが、特に世紀転換期の消え行く街並みを写した写真には吸い込まれそうになるほど引き付けられ、写真が持つ(絵画とは違う)本質的な価値というものについても考えさせられました。
最近この回顧展のカタログも購入し、寝る前にパラパラめくっては古きパリに思いを馳せるのが楽しみになっています。最初に書いた通り、来年1月6日までの開催なので、興味のある方はお早めにどうぞ。
今週は予定がかなり詰まっているため、更新とコメントへのお返事が滞りがちになるかもしれませんが、クリスマス直前の1週間もよかったらお付き合いください。



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2 Responses

  1. rbhh
    rbhh at · Reply

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    こんばんは。先日ベルリンに行った際、この回顧展見ました。マサトさんの記事を読まなかったら、この回顧展のことに気づいていなかったと思いますので、とっても感謝しています。自分でも記事を書くつもりだったのですが、年末のバタバタで無理そうです。素晴らしかったです。あの作品数に圧倒されましたし、内容も充実していました。パリの路上で身体ひとつで商売しているさまざまな人々の写真が特に印象深かったです。
    あと良かったのは、会場がほとんど貸し切り状態だったことです(笑)。
    マサトさんのおかげで、今年もベルリンその他のいろいろな有益な情報を知ることができました。どうもありがとうございます。来年もどうぞよろしくお願いします。良いお年をお迎えくださいね!

  2. berlinHbf
    berlinHbf at · Reply

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    >rbhhさん
    お久しぶりです。この記事がお役に立てたようでよかったです。すばらしい展覧会でしたよね!パリの物売りの人たちの写真は私も大好きですが、それ以上に強い印象を受けたのは人の気配のない消え行く街並みをとらえた写真です。アジェの写真を眺めていると、街を見る目が鍛えられるような気がします。

    どうぞよいお年を!来年もどうぞよろしくお願いします。

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