ヘーア通りの森の墓地を歩く
ロックダウンの期間中、何度かベルリンのお墓巡りをする機会がありました。博物館やコンサートホールはあいかわらず閉鎖された状態が続いていますが、ベルリンにはそれ自体が博物館といえるような文化史的に興味深い墓地がいくつもありま…
ベルリン・テーゲル空港最後の日々
2021年最初の投稿が1月も終わり頃になってしまいました。ドイツでは数日前にロックダウンが2月14日まで延長されました。感染者がなかなか減らず、厳しい状況が続きますが、毎日健康に過ごせることのありがたさを強く感じる日々で…
発掘の散歩術(114) – アウシュヴィッツ解放から75年〜ヴァンゼー会議記念館を訪ねて –
1月27日のアウシュヴィッツ解放75年を前に、シュタインマイヤー大統領がドイツ大統領として初めて、イスラエルのホロコースト記念館、ヤド・ヴァシェムでスピーチをした。冒頭にヘブライ語、その後英語で話すシュタインマイヤー氏に…
発掘の散歩術(97) – 防空壕跡で体験するフォイエルレ・コレクション –
アレクサンダー広場駅に大分遅れて到着した地下鉄はすでに満員だった。ベルリンの地下鉄の中でも100年以上前に造られたU1とこのU2は車体が狭く、大柄な人たちが乗るとすぐにいっぱいになる。当然冷房などはなく、車内は熱気でムン…
ブライトシャイト広場のクリスマスマーケット
※昨年12月に書いた記事をここにアップしたいと思います。 毎年11月末から、カイザー・ヴィルヘルム記念教会前のブライトシャイト広場で開催されるクリスマスマーケットは、ベルリン西地区に住む私にとって特に馴染み深い冬の風物詩…
発掘の散歩術(93) -フンボルトハインの天空の展望台-
今年は3月末になっても雪が降るなど、いまだ春の気配にはほど遠いベルリンだが、天気の良い日に家族を連れて行ってみたい場所があった。Sバーンのゲズントブルンネン駅にはノルトクロイツ(北の十字)という別称があり、各方面からの鉄…
発掘の散歩術(91) -ヴィルマースドルフが村だったころ-
最近インターネットの古書サイトで1枚の古い絵葉書に出会い、思わず購入した。そこにはゼーバート・ヴィルマースドルフと書かれた湖畔のテラスと隣接した屋外のコンサートホールが細かく描かれ、のんびりくつろぐ人々の様子が伝わってく…
発掘の散歩術(89) -リリエンタール兄弟と大空への夢-
新空港の開業問題、テーゲル空港の存続、エアベルリンの破産……。ベルリンの空をめぐる話題は何かと落ち着かず、先行き不透明なものばかりである。今回はそんなゴタゴタから離れて、世界の空の旅の原点とも言える場所を散歩してみたい。…
発掘の散歩術(88) 消えたユダヤ人たちの痕跡をたどって —モアビットの2つの場所—
この原稿を書いているのは10月18日。偶然ではあるが、今回ご紹介する場所の歴史と直に結びついた日付であることにふと気付いた。今からちょうど76年前の1941年10月18日、1251人のユダヤ人を乗せた貨物列車が初めてベル…
発掘の散歩術(86) –アルト・テーゲルのフンボルト邸を訪ねて–
この8月半ば、久々に地下鉄U6の終点アルト・テーゲルの駅に降り立った。いつもはテーゲル湖の湖畔を目指すのだが、今日は駅から北にしばらく歩くと、森の中へと続く道が出現する。Privat(私有地)と書かれているので一瞬ひるむ…
発掘の散歩術(84) –リューデスハイマー広場のワインの泉で–
夏の季節、地下鉄U3のリューデスハイマー広場から地上に出ると、南ドイツから吹き抜けてきたかのような爽やかな風をいつも感じる。まず目に入るのは、広場の一段高い位置に置かれたテラス。ここに上がると、夏の夕方以降、ベンチに座る…
発掘の散歩術(83) – 実物大で世界を知るドイツ技術博物館 –
冴えない天気が続いた5月半ばのある土曜の朝、屋内で過ごせて、かつ乗り物好きの子供も楽しめそうな場所が何かないかと考えていたら、ふと思い付いた。地下鉄U1の車窓からよく見えるドイツ技術博物館はどうだろう。この博物館は膨大な…
発掘の散歩術(82) – デュッペル村で味わう中世の春 –
オーク材を組んで作った防御柵から中に入ると、わらぶき屋根の家々が見えてきた。中央の広場には二人の男がバグパイプと太鼓の陽気な音楽を奏で、親子連れが集まっている……。 ここはベルリンの西の郊外、ツェーレンドルフ地区にあるデ…
発掘の散歩術(81) – チェロとフランス風ケーキを味わいながら –
昨年末、ベルリンのシェーネベルク地区に日本人パティシテのカフェがオープンしたと聞き、ヴィッテンベルク広場駅から近い閑静な住宅街にあるカフェを訪れた。オーナーの小峯晋さんと立ち話をしていると、10年以上前に、あるチェリスト…
発掘の散歩術(79) -あの夜から1ヶ月 カイザー・ヴィルヘルム記念教会前で-
ベルリンのクリスマスマーケットにトラックが突っ込み、12人が死亡、50人が重軽傷を負ったテロ事件の一報を、私はちょうど一時帰国中に、実家の寝床の中で知った。トラックが突っ込んだ先がカイザー・ヴィルヘルム記念教会前のブライ…
Berlin…
毎年この時期のクリスマスマーケットは、ドイツでは季節を感じられる数少ない行事に属する。ベルリンの西側に住む私たちにとって、動物園駅からほど近いブライトシャイト広場のマーケットは特になじみ深いものの一つだ。12月5日(月)…
発掘の散歩術(77) 不寛容の行き着く先にあるもの ― ナチスの恐怖政治の原点を訪ねて ―
ベルリンにある鉄道ターミナルの一つ、ズュートクロイツ駅のホームに立つと、青いイケアの買い物袋を持った人の姿によく出会う。この近くに大型家庭用品の店がいくつも並んでいるからだ。いつもは自分たちも通る買い物客の流れから外れて…
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