サシャ・ヴァルツの"Impromptus"

Schaubühne am Lehniner Platz(2005年12月)
クーダムにあるシャウビューネ劇場で、振り付け師サシャ・ヴァルツの”Impromptus”という作品を昨夜観て来た。
開演45分前に会場に行くとすでにチケットは売り切れ。初演からもう2年近く経つ作品なのに大した人気のようだ。キャンセル待ちのチケットを求めると、「8番目」と書かれたカードを渡される。微妙な数字だったのだが、7番目の人が1人で来ていたために、1番最後のチケットが8番目の私に回ってきた!思わず劇場の地面にほおずりしたくなるような気分で中に入る。
作品のタイトルの”Impromptus”とはF. シューベルトの「即興曲」というピアノ曲のタイトル。2集各4曲づつから成る、いずれもシューベルト最晩年の作品だが、今回は作品90の曲を中心に、サシャ・ヴァルツが振付けるというもの(その合間にシューベルトの4曲の歌曲が挿入される)。サシャ・ヴァルツ自身はドイツ人だが、プログラムを見ると実際に踊る7人のダンサーはみんな外国人。1番最初に出てきた男性ダンサーは中国人だった。いずれもその技量はすさまじい。
それにしても美しい舞台だった。今まで何度もCDで聴いてきた「即興曲」が、サシャ・ヴァルツという振付師との出会いによって、かくも新しい姿を提示しうるのかと。プログラムにはこう書かれている。「サシャ・ヴァルツのとった試みとは、すでに独自の絵が豊富なシューベルトの音楽に新たに絵を挿入することではなく、この置き換え作業の中で、できる限りの単純さを追求することだった。シューベルトの音楽の豊富な『絵』に対して、サシャ・ヴァルツは空間の中における振り付け作業の『素描』で反応する」
2月にも2回上演されるので(8日と9日)、機会のある方はぜひどうぞ。
Tanz/Choreographie: Maria Marta Colusi, Clementine Deluy, Juan Kruz Diaz de Garaio Esnaola, Luc Dunberry, Michal Mualem, Claudia de Serpa Soares, Xuan Shi
Regie / Choreographie: Sasha Waltz
Bühne: Sasha Waltz, Thomas Schenk
Kostüme: Christine Birkle
Dramaturgie: Yoreme Waltz, Jochen Sandig
Licht: Martin Hauk
Gesang: Judith Simonis
Piano: Cristina Marton



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2 Responses

  1. smacks
    smacks at · Reply

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    この舞台、2年前のアヴィニオンで観ました。アヴィニオンでは教皇丁の野外ステージだったので、舞台空間のスケールにやや迫力負けした印象があったのですが、劇場でみるととてもよい、という評価だったので、本拠地シャウビューネで観るときっとすごく違うんだろうなあと思います。それにしてもいまだにキャンセル待ちがでるほどの人気とは。サッシャ・ヴァルツは99年にうちの東京国際芸術祭でも「宇宙飛行士通り」という記念碑的な作品を招聘しています。

  2. berlinHbf
    berlinHbf at · Reply

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    smacksさん、こんにちは!
    この作品はかなり、intimateな雰囲気が漂っているので(音楽も内向的ですし)、野外と中規模の劇場とでは受ける印象はかなり異なってくるのではないかと思います。次回は本拠地でぜひ!

    サシャ・ヴァルツですが、昨年秋、劇場側との不和がさかんにメディアで取り上げられ、今シーズン限りでここを去るんじゃないかとも言われています。そうだとしたら非常に残念なのですけれども・・

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