サシャ・ヴァルツ インタビュー(2)

前回に続いて、ラディアルシステムのオープニング作品の振り付けをする、サシャ・ヴァルツへのインタビューをお届けします。
Tip: あなたの建築への関心は、あなたの父親が建築家であることと関係があるのでしょうか?
Waltz: おそらくそれは重要なことだったでしょうが、青春期の頃は、私は建築よりも造形芸術の方にずっと関心があったんです。肉体との取り組みを通して、つまり空間を動く肉体、ダンスを通じて、空間というものを自分の重要なテーマだと発見したのだと思います。私は建築家になりたいという望みを押さえ込んでいたわけではありません。空間には本当にさまざまなエネルギーの場があります。こう言うとひょっとしたら少し密教的に聞こえるかもしれませんが、私はこのことを非常に具体的に考えています。
Tip: シャウビューネと決別した時、あなたのアンサンブルは厳しい財政状況に置かれました。客演による提携や収入を通じて状況はよくなりましたか?
Waltz: 私たちは完全にシャウビューネから去ったわけではありません。シーズンごとに25公演はあそこで行いますし、そのことも私はとても重要だと思っています。私は、“Körper“や“noBody“といった作品を引き続きシャウビューネで披露したいのです。
“Körper”の舞台
Tip: しかし、シャウビューネ内部でのいざこざの後、あなたは組織面でも財政面でも独立しましたよね。あなたのカンパニーの財政状況は現在どのような感じなのですか?
Waltz: 私たちは大きな削減をしなければなりませんでした。私は何人かのダンサーに別れを告げなければなりませんでしたし、アンサンブルと事務所のスタッフの数も縮小しました。私はもちろん今後何年間でアンサンブルを増強できることを願っています。シャウビューネと組織面で決別したことが、私たちの財政状況を明らかによくしたというわけではありません。この決別は、とりわけ自分たちの自由と独立に関することだったのです。現在私たちは予算の3分の1を自らやりくりしなければなりませんが、これは大きな圧迫です。
Tip: ラディアルシステムでは、シャウビューネで実現できなかったプロジェクトが実現可能ですか?
Waltz: ラディアルシステムとは、劇場ではなくプロダクションの場所です。私はここではシャウビューネの時のように芸術監督の一部ではなく、会議に参加する義務はもうなくなりました。賃借人というよりはゲストというわけで、そのことは非常に快適に感じています。私は自分たちのダンサーとカンパニーに対してのみ責任を負えばよく、建物全体に対してではありません。ここでは川が望め、日当たりのいいすばらしいスタジオを使えますし、別のカンパニーの音楽家やダンサーが他の部屋で同時にリハーサルをすることもできます。このクリエイティブなエネルギーの波はとにかく刺激的で、完璧なプロダクションハウスだと想像しています。しかし私たちは、他のプロジェクトが部屋を使う要求に応じて、引き続き街の様々な場所で公演を行うことになるでしょう。シュターツ・オーパー(州立歌劇場)ではパーセルの“Dino & Aeneas“を、レパートリーの大部分をシャウビューネで、そしてもちろん引き続き外国で多くの公演を行います。私の次のプロダクションはオペラ「メディア」で、再びルクセンブルクの劇場(Grand Théâtre de la Ville in Luxemburg)との緊密な協力関係のもとで出来上がります。
“Dino & Aeneas”は、10月下旬にシュターツ・オーパーで再演される。
Tip: そのような遊牧民的な活動をしていると、ハイマート(Heimat)、つまり特定の場所に対する欲求が増してくるのではありませんか? ラディアルシステムはそのようなハイマートといえますか?
Waltz: 私にとって(ひとつの場所に)根を下ろすということは極めて重要なことです。グループにとっても、ですが。それには土台が必要です。ラディアルシステムがまさにそれなのです。
(了)



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2 Responses

  1. warabi
    warabi at · Reply

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    トラックバックから参りました。
    warabi's Tagebuchにコメントありがとうございます。
    サシャのインタビュー読ませていただきました。彼女の作品は人を魅了しますよね。
    新作が楽しみです。
    こちらはベルリンの情報がいっぱいですね。これからも寄せていただきます。
    ではまた。

  2. berlinHbf
    berlinHbf at · Reply

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    >warabiさん
    コメントありがとうございます!ダンスを観始めてからまだ日は浅い私ですが、サシャの作品はできる限り観たいと思わせてくれます。このインタビューの中で「自分の作品の中で音楽はただの背景ではない」と語っていますが、私は彼女の音楽の使い方も好きです。

    雑多なブログですが、またいつでも遊びに来てください!

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