(前回のつづき)
前回ご紹介したライプチヒ広場にある、ポツダム広場寄りのこの工事現場。
その2日後にその前を通りかかったら、このようにメルセデスの巨大な広告幕が垂れ下がっていた。そのすばやさに驚く。これからここを通る度に工事の様子を眺められると思っていたので、ちょっとばかり残念。
さて、八角形のライプチヒ広場の中で、今や唯一さら地のままといっていい、北側のこの一角は、いわくつきの場所である。
この場所には戦前まで、「ヴェルトハイム百貨店」があった。1904年にアルフレード・メッセルの設計で建てられたこの建築は、垂直にそびえるゴシック風ファサードが圧倒的な、当時ヨーロッパ最大といわれたデパート。ライプチヒ広場の象徴ともいえる建物だった。しかし、ヴェルトハイムはユダヤ資本の会社ゆえ、ナチスが台頭すると、「アーリア化」の名のもとに土地そのものを没収されてしまう。
ドイツ再統一後、ここの土地買収に関してはかなりいろいろもめたようなのだが、結局戦前のヴェルトハイム・デパートの外観スタイルを取り入れつつ、このように再建されることになったらしい。
そのビルが建てられる敷地に寄ってみる。この写真には写っていないが、この敷地の奥には”Tresor”という有名なクラブがあった。
そのクラブの取り壊しに関してかなりもめていたのだが、結局昨年の4月に閉鎖されると、この周辺の工事は一気に進んできた。かつてここに壁があったことをうかがわせる廃墟感漂う風景も、あと数年経ったら見られなくなるのは間違いないだろう。
これは戦前の建物の跡だろうか。
次回は、この向かいのポツダム広場を舞台に昨日から始まっている映画祭へと話題を移す予定です。
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こんにちは、マサトさん。
変容するライプチヒ広場のブログ、楽しく拝見しています。
このヴェルトハイムデパートの外観はどういう建築なんでしょう。
恐らくこの時代特有なのか、ご縁がある建物なのか
昨年ゲルリッツに行った時に、ゲルリッツのKAUFHOFが
こんな作りのデパートでした。
前面に出ているアーケードが重厚でいいですね。
ゲルリッツのデパートは素通りしてしまったので
内部をしっかり見てこればよかったなと後悔しています。
追伸。有名なクラブTresorは今はないのですね・・・。
知りませんでした。
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しゅりさん、コメントありがとうございます。
>このヴェルトハイムデパートの外観はどういう建築なんでしょう。
この時代特有ということは、ある程度言えるかもしれませんね。KaDeWeを始めとしてドイツの有名なデパートの多くは、20世紀の初頭のこの時期に作られています。デパートなんて今では何も珍しくないですが、あらゆるジャンルのものがひとつのお店で買えるというのは、この時代においては革命的で、資本主義の象徴みたいなところがあったのではないでしょうか。このような豪華な建築のデパートが作られたのも、それなりの理由があってのことではないかと思われます。
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LeipzigerplatzやPotsdamerplatzの最近のことを話題にしようとすると、私にはHotel Esplanadeのことが真っ先に目に浮かびます。このホテルの一部(Kaisersaal)がソニーセンターのところに「部分復刻」されているのをご覧になったことがあるでしょう。このホテルは、東西分断時代にはフィルハーモニーのわりと近くに、廃墟のような姿で残存していました。あの姿は忘れがたいものでした。「ベルリン・天使の詩」の映像の中にも、あの廃墟のような姿が映っていたのをご存知でしょうか?
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このEsplanadeというホテルこそ、あの戦前の「栄光のベルリン」を担った場所でもあるのです。戦時中は奇跡的に爆撃の被害を受けなかったため、多くの音楽家などがあのホテルに宿泊していました。40年代前半には、あのカラヤンもこのホテルに宿泊していました。その他いろいろこのホテルにまつわる話を私は多く聞いています。Esplanadeの廃墟の一部がああいう形でソニーセンター横に復刻移転されたのも、あのホテルに思い入れを持つ人がいたからです。(おそらくソニーの大賀さんもその一人でしょう。)
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このEsplanadeについて触れませんと、ベルリンという街と文化について語る際に大事なものが欠けてしまうように思います。
以下、分断時代のEsplanadeの写真です。
http://www.medienarchiv.com/Berlin/PotsdamerPlatz1/ppages/ppage52.htm
この廃墟の建物の前を何度も歩き、ベルリンの戦前の輝かしい文化に思いをはせる....そういうことをしてきた私にとっては、たとえ一部でもこれが保存されたのはありがたいと思っています。
(焼きソーセージさん、いかがでしょうか–笑)
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>la_vera_storiaさん
いつもながらご教示の数々、どうもありがとうございます。
ソニーセンターの端にあるあの一角が、戦前のホテル・エスプラナーデだと知ったのは、私がベルリンに来て約半年後のことでした。こういう保存の仕方をしたソニーの心意気に、とても感心したものです。今回はあえて取り上げませんでしたが、ポツダム広場については別の機会にゆっくり時空紀行を試みたいと思っています。もうご存知かもしれませんが、エスプラナーデについては、こういうページも見つけました。
http://www.bundesrat.de/schaufenster/de/bellevuestrasse1.html
ネットだけでも戦前のポツダム広場の写真は結構見つかるもので、Hotel Esplanadeの他に、Cafe Josty, Columbushaus, Voxhaus, Haus Vaterlandなどなど、この界隈の建物の位置関係が頭の中で少しづつ組み上がってきました。甘美な思いを馳せながら、もう少しいろいろ調べてみます。「ベルリン天使の詩」も久々に観てみたくなりました。
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先ほどのBundesratのサイトに、とんでもないものを見つけてしまいました(私にとってはですが)。
http://www.bundesrat.de/schaufenster/de/
このページの下に行くと、
Darstellung "Berlin im Jahr …"
というコーナーがあるのですが、これには驚きました。興味のある方はご覧ください。この100年のポツダム広場の1年毎の変遷が、模型でたどれるようになっているのです。しかもカーソルを当てると、その建物の名前が出てきます。何という力作!
私にとっては目からうろこのページです。
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中央駅さん、la_vera_storiaさん
歴史的建造物の保存・復元については、共和国宮殿と王宮の関連でお二人が興味深いお話をされていたのですが、私も先日ドレスデンに行って「夢」が成就したはずが何か違和感を抱いて帰ってきたところです。このことについては、いずれ私のHPに書きますので、ご意見をきかせてください。明日から帰国しますので、ちょっと先になりますが。
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>焼きそうせいじさん
ドレスデンの聖母教会に行かれたのですね。とても興味あるお話ですので、またぜひお聞かせください。まずはよい日本滞在を!