バルコニーのある風景(2)

Kloedenstraßeにて(5月4日)
前回ご紹介したように、クロイツベルクのシャミッソー広場周辺には19世紀末に建てられた美しいアパートが多く残っているのですが、それらを維持するためには、実は大変な根気と技が必要です。
例えば、私の家のすぐ近所、Fidicinstraße沿いにあるこの古いアパートは、独特のくすんだ感じが印象的でした。これはこれで私は好きだったのですが、周囲のアパート群の中ではくたびれた感じを放っていたのもまた事実。この写真は2003年の12月にたまたま撮ったものです。
今年になって、このアパートの正面に幕が張られ、修復工事が始まりました。かれこれ2ヶ月は経ったでしょうか。つい先日、修復作業が終わり、幕が外されたのですが、生まれ変わったそのアパートを見た時の驚きは忘れられません。どうなったかというと↓
いかがですか?全くお見事としか言いようがありませんね。
単に色を塗り替えただけでなく、細かい装飾に至るまで完璧な仕上がりです。戦前に建てられたアパートを修復するには、高度な職人技が要求されるという話を聞いたことがありますが、まさにそれを目の当たりにしたのでした。
1つのアパートを修復するだけで2~3ヶ月。この界隈では、いつもどこかで修復作業が続いています。人は変われど、アパートはずっと受け継がれていく。ベルリンの古いアパートは、このような極めて地道な努力によって支えられているのです。



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10 Responses

  1. しゅり
    しゅり at · Reply

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    マサトさん、こんにちは。
    この建物の変わりよう!凄い!!
    でも、上のくすんだ古い時の方が確かに味がありますね。
    私は上のアパートのほうが人の生活感が溢れてて好きです。
    前にGoeritzer bhfの近くの道を歩いてて
    凄くくすんだアパートがあって、あまりのくすみように
    酸性雨か、まさかベルリンの空襲の時以来のくすみかと
    思うようなアパートがあって思わず見上げてしまったのですが
    あれはあれでいいなと思いました。

    さて、上から5枚目の写真の左にうつっているバルコニーの
    上にあるバルコニーの底にグルグルととぐろのような模様?が
    見えるのですが、これはやはり模様なのですか?

  2. pfaelzerwein
    pfaelzerwein at · Reply

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    外装をペイントも使って綺麗にしましたね。特にバルコンの柵の意匠なども光ります。ガラスにシールが貼ってあるのを見ると全面改装したのでしょうか。投資しただけの見返りが見込めるのでしょう。反対に建物全体がスラム化すると大変ですからね。将来とも不動産部門は厳しいでしょうが、魅力ある街作りは大切です。

  3. hummel_hummel
    hummel_hummel at · Reply

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    この建物と、外観がそっくりなアパートを、ウィーンで借りてたことがあります。もっとも、私の住まいは屋根裏部屋でしたけどね(笑)。色も全く同じ(下の方に)なので、なんだか懐かしいです。入り口上にハプスブルクの双頭の鷲のワッペンがあり、確か1903年築と刻まれていました。
    こういった「フツーの」歴史的建築物こそ、ずっと保存されてほしいものですね。

  4. nozomu
    nozomu at · Reply

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    改修前も味がありますが、改修後も素敵ですね。
    街の眺めとしては改修前がよくて、自分が住むなら改修後かな。
    こういうアルトバウ(でしたっけ)の内部の設備や住み心地は
    どんな感じなのでしょうか。
    頑丈で実用的なドイツ製の住宅設備で完全装備されていたりして。

  5. berlinHbf
    berlinHbf at · Reply

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    >しゅりさん
    しゅりさんは改修前派ですか。改修前も独特の情緒がありましたが(写真を撮っておいてよかった!)、あの鮮やかな姿を見てしまった今の私は断然改修後派です(笑)。

    >バルコニーの底にグルグルととぐろのような模様?
    これはやはり模様です。古いアパートは、こういう一見目に付きにくい場所も手が込まれていることが多いですね。

  6. berlinHbf
    berlinHbf at · Reply

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    >pfaerzerweinさん
    このアパートが改修される前のことですが、この界隈にしていは珍しく、「Mieter募集」のポスターが貼ってあったんです。住む場所を探している立場からすると、外観はやはりそれなりに大事なのでしょうね。改修によって、細かい彫刻が浮き上がってきた感じがします。

  7. berlinHbf
    berlinHbf at · Reply

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    >フンメルさん
    ウィーンは古いアパートが多いだけでなく、様式もより多彩なイメージがありますが、このアパートとそっくりな家に住んでおられたとはおもしろいですね。屋根裏部屋だと、階段の上り下りが大変だったでしょう(笑)。いつかウィーンを再訪する時は、ベルリンとのアパート比較も楽しそうです。

  8. berlinHbf
    berlinHbf at · Reply

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    >nozomuさん
    外見はボロくても、内部はリニューアルされているアパートが多いですね。そのギャップにびっくりしますよ。アルトバウは部屋のスペースがゆったりしていることが多くて、私はノイバウより好きです。いつか書きましたが、個人的には、ベルリンで一番最初に住んだアパートが忘れられません。

  9. akberlin
    akberlin at · Reply

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    うわぁ、おウチ改造番組みたいですね。すばらし。
    ウチも実は19世紀の建物ですが、外は相変わらずキタナイまんま・・・。
    でも最近、インターホンをつけたり、廊下を塗り替えたり改装工事をして
    います。大家さん、家賃を値上げしそうだな・・・。

  10. berlinHbf
    berlinHbf at · Reply

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    akberlinさんもアルトバウにお住まいなのですか。
    いろいろ新しくなるのはいいけれど、家賃が上がるのはつらいですよね。幸い私のところはこの3年間、一度も値上げしたことはありませんが・・

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