博物館島の旧ナショナルギャラリーで、常設展のほかに「1800年頃のベルリン ‐新しい建築術‐」という特別展を観た。これが予想以上に面白かった。
1800年周辺というのはいわゆる新古典主義のが花盛りの時期で、建築、学問、政治、文学などあらゆる分野で新しい時代の息吹が芽生えていた。建築界にはエルトマンスドルフ、ラングハン、ジリー、少し後のシンケルといった才能が次々に現れる。ラングハンの設計による、今でもこの街のシンボル、ブランデンブルク門が建てられるのもちょうどこの時期だ。彼らが設計した建築物の多くは結局実現されなかったり、戦災にあったりして今はもうないのだが、当時の時代の空気を想像するだけでも楽しい。建築だけでなく、当時の市街図や風景画、市門の様子、人々の流行など程よく紹介されていたのもよかった。この特別展は5月28日まで。
私がとりわけ興味深かったのが、弱冠28歳で死去した天才建築家のフリードリヒ・ジリー(1772-1800)のスケッチや透視図の数々である。ジリーが夭逝しなければ、ベルリンの街並みはまた少し変わっていたかもしれない。幸いベルリンはその直後、シンケルという巨大な才能を得ることになるわけだが。冒頭の写真の建築は、ジリーが1797年にアテネのアクロポリスを模範にデザインした「フリードリヒ大王記念碑」。ポツダム広場の隣のライプチヒ広場に建てることを夢見て設計したこのあまりにモニュメンタルな建造物は、実現することはなかったものの、当時の人々に相当大きなインパクトを与えたらしい。後に建てられたコンツェルトハウス、そしてこの旧ナショナルギャラリーは、ジリーのこの記念碑の影響下に建てられることになったのだが、なるほどこうして見ると本当によく似ている。
ちなみに、久々に観るのを楽しみにしていたベックリンの「死の島」がどこにも見当たらないので係りのおばさんに聞いてみたら、現在ブリュッセルに貸し出し中とのことだった。こちらではよくあることなのだが、ちょっと残念。
クヌート見物記 →
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今、こんな展覧会やっているんですね。知りませんでした。
「死の島」はすごいですよね。見ていると無意識の世界というか、夢の世界に引き込まれて行くような感じで、なにか意識の基盤を失ってしまいそうで怖い印象ですが、惹き付けられますよね。私はBaselに来ているときに見て、ベルリンでも見られたという幸運に与りました。早く絵が戻ってくると良いですね。
また、ベルリンの建造物は興味深いです。シンケルは有名ですが、ジリーは知らなかったです。こんな建物を設計していたとは、何でも巨大な都市ベルリンならではですよね。そこから生まれたのが、旧ナショナルギャラリーでしたか。あの建物の中も素晴らしいですよね。是非この特別展を訪れてみたいと思います。
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旧ナショナルギャラリーは、「工事中だけど特別公開」の時に行きました。
ヨーロッパの劇場や美術館ってファサードに懸かる垂れ幕が
きれいですよね。
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>momidoriさん
お返事が遅くなってしまいごめんなさい。
あの絵についておっしゃっていること、とてもよくわかる気がします。「死の島」はいくつかバージョンがあるのですよね。バーゼルのもぜひ見てみたいですし、絵にまつわる話ももっと知りたくなりました。
この特別展はなかなかのおすすめかもしれません。この時期の街並みとか人々の風俗とかがよく伝わってきて、タイムマシンに乗りたくなります。
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>Kenさん
>「工事中だけど特別公開」
確かにそんな時がありましたね。私も行ったかもしれません。ファサードにかかる垂れ幕はオペラだと演目ごとに色やレイアウトを変えたりして、確かになかなか凝っていますよね。
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はじめてコメントを書きます。ベルリンの情報や写真をいろいろと楽しみにしています。いつも工事中のイメージですが、少しづつ変化していて面白いです。よろしくお願いします。
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>espressokさん
はじめまして!コメントありがとうございます。
ベルリンは変化しているからこそ面白い、私もそう思います。これからもその様子を少しづつお伝えしていきますね。