指揮者角田鋼亮さんのインタビューの後編です。
ベルリンには一流のオケやオペラハウス、劇場が数多くありますが、聴衆を拡大させるためにいろいろな工夫をしていますよね。角田さんから見て、日本では出会ったことのないような面白い試みがあったら教えてください。
僕が一番びっくりしたのは、開演前のプレトークが多い事です。特に現代曲が演奏されるコンサートの前にはほとんどの場合あるのではないでしょうか。またオペラハウスではワークショップなども多いですし、子供がオペラの衣装を来たり、舞台セットを間近でみたりできるようです。僕自身一番楽しかったのはベルリン・フィルが行った「音楽の日(Tag der Musik)」という催しです(冒頭の写真)。本拠地であるフィルハーモニーを1日使って、ベルリン・フィルのメンバーが会場のあちこちで演奏したり、屋台のようなものが出たり、過去のプログラムの販売をしたりするのですが、それは楽しい一日でした。子供連れの家族なども多く詰め掛けていました。
一方で、アマチュアのオケの活動もなかなか盛んです。以前、僕も参加していたコレギウム・ムジクムという学生オケの演奏会を聴きに来てくれましたが、日本のアマオケと比較して何か感じたことは?
マサトさん、あの時は素敵な「英雄」を聴かせていただきました。フィルハーモニーでフルートを吹いたなんて、皆さんに羨まれるのではないでしょうか。僕は日本でも色々なアマオケに関わらせていただいていますが、面白いもので国が違えばアマオケといえどもやはりその音楽も違うのですね。響きでいえば金管楽器の厚みが違うなと思いました。ところどころ、危ないところもあったと思うのですが、皆さんそれに動揺することなく進んでいく。むしろ事故があることによって集中力が増してより良い演奏を生み出しているような印象すら受けました。
ステージマナーという点で、「おやっ」と思ったことがあったとか。
ステージに登場する際に日本だと皆緊張して、一言も喋らずに出て来るのですが、こちらの人は皆友達と話しながら出て来る。舞台というものに特別な抵抗とか壁はないのでしょうか?すごくリラックスした感じを受けました。
ベルリンについてもう少しお聞きしたいと思います。他の町にはない、ベルリン独自の魅力というのを感じることはありますか?
みんなが外国人に慣れているというところじゃないでしょうか?ここに暮らしていてあまり自分が日本人だとかを意識したことがありません。一番にこの居心地の良さを挙げたいと思います。またユーロ高ではありますが、ベルリンでは家賃も食費も比較的安いと思います。大学も授業料というものがかかりませんし。
逆にベルリンのここが馴染めない、苦手というところは(笑)?
僕は元々この街が好きで来たので馴染めないというところはないですが、街のいたるところで工事をしているので、もう少し落ち着いてくれたらなと思います。しかし、未来のためには必要なことなので、我慢します(笑)。
ベルリンの好きな場所を教えてください。
よく行くのはカフェで、学校のそばのアインシュタイン・カフェのホットチョコレートがお気に入りです。またプレンツラウアーベルクやプラッツ・デア・ルフトブリュッケの方(ベルクマン通り周辺)にもお洒落なカフェがいっぱいありますよね。あとベルリン中央駅前の広場も好きです。またDussmannという本屋さんとCDショップが一緒になったデパートがあるのですが、そこの地下のクラシックコーナーはどのCDも試聴できるので、時間ができると勉強しに行きます。
将来の夢は?
とてつもなく大きな夢としては芸術創造団体みたいなものを作りたいと思っています。オーケストラだけでなく、美術、建築、演劇など様々なジャンルの分野で活躍する人を集めて、新たな芸術の創造を行いたいです。これはベルリンで色んな方と知り合うことができたということも大きく関係しています。
これからクラシックを聴いてみたいという人に、有名無名問わずおすすめの曲を5曲挙げてもらえませんか?
こういうのが一番難しい質問なのですが、今自分が気に入っている曲ということでは
・ワーグナーの楽劇「ニーベルングの指輪」
・マーラーの交響曲第6番
・シュレーカーのオペラ「遥かなる響き」
・コルンゴルトのオペラ「死の都」
・ショスタコーヴィチの交響曲第10番
です(笑)。
どうもありがとうございました。今後の活躍を心より願っています。またベルリンでお会いしましょう!
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素晴らしいインタビューを読めて嬉しいです!!!
ベルリンと彼の呼吸の関係をあらためて知ることができました。
わたしもがんばらなくっちゃと勇気をもらいました!
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角田さんが気に入っている曲の中の、「マーラーの6番」「ショスタコーヴィチの10番」は、それぞれの作曲家のベスト(なのに演奏機会が少ない?)だと思っていますので、一度ぜひ角田さんの指揮で聴いてみたいですね。(そういえば、マーラーの6番は昨日愛知県芸術劇場コンサートホールで演奏されたのですよね。行けなくて残念・・・)
それから、ヴィオラ・ダ・ガンバやフォルテピアノなども学ばれているとの事にも要注目ですね。アーノンクールが現代オケ、ラトルがピリオド楽器オケも振る時代ですから・・・。いつかバッハも演奏して欲しいです!
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>にわやまさん
明けましておめでとうございます!
>ベルリンと彼の呼吸の関係
なるほど、「街との呼吸の関係」とは面白いことをおっしゃいますね。にわやまさんも、ベルリンの空気をたっぷり吸い込んでください!
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>bachさん
>ヴィオラ・ダ・ガンバやフォルテピアノなども学ばれている
それは実は私も知りませんでした(オーボエを吹いていたのは聞いていましたが)。マーラーやショスタコはもちろん、私も彼の指揮でバッハはいつか聴いてみたいですね。あとオペラも!
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12月のベルリンでのご案内ありがとうございました。 masatoさんと音楽のお話もう少ししとけばよかったと思ってますが。 角田さんのインタビュー、楽しく読ませていただきました。 彼の出身校のオケ部、知人がいたので、何回か聴きに行ったことがありますが、彼がいる頃には行ってないなー。 将来楽しみな方なんですね。 角田さんの今度の名古屋の公演、聴きにいきます!
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>galahadさん
先日はこちらこそありがとうございました!
galahadさんなら、ひょっとしたら彼のことをご存知かなと思っていました。これからどんどん伸びていく音楽家だと思うので、今のうちからチェックされておいてはいかがでしょう。今年もどうぞよろしくお願いします。
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はじめまして。
Ganze Lieben・・・をのぞいていて、リンクでこちらに来ました。
数年前、私の所属する東京のアマオケを角田先生に指揮していただくことができました(イドメネオ・序曲とバレエ音楽、ベートーベン交響曲2番ほか)
本当に音楽に満ちあふれた指揮で、練習のひとこまひとこまを良く覚えています。角田先生と一緒の音楽の時間は、とっても幸せでした。
その後の大活躍、を心から嬉しく思っております!
きっときっと、ますます活躍の場を広げてゆかれることでしょうね。
くれぐれも宜しくお伝えください。
追伸
リゴレット、気がつくのが遅れて聞き逃してしまい、とても残念です。
次に東京で公演があるのはいつでしょう?もしご存じでしたら、ご教示いただれれば幸いです。
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>フェランドさん
いただいたコメントをすっかり見逃していました。ごめんなさい!
2月、3月の角田さんの東京での公演予定を以下に載せますので、お時間があったらぜひ足を運ばれてはいかがでしょう。
NTTフィル
日時:2008年2月2日(土)
開演:未定
会場:四谷区民ホール
曲目:モーツァルト…「フィガロの結婚」序曲
ベートーヴェン…交響曲第7番から第1楽章
二期会(副指揮、プロンプター)
日時:2008年2月20、21、23、24日(水、木、土、日)
開演:18:00、15:00、15:00、14:00
会場:東京文化会館大ホール
指揮:飯守泰次郎氏
演目:ワーグナー作曲…ワルキューレ
オンディーヌ室内管弦楽団
日時:2008年3月16日(日)
開演:14:00
会場:フィリア・ホール
曲目:ブラームス…交響曲第3番
ハイドン…交響曲第60番
ベートーヴェン…「コリオラン」序曲
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ご教示ありがとうございます!
とても興味深い出演が続きますね。ワルキューレの副指揮・プロンプターというのも素晴らしい。オンディーヌ室内管は、角田さんらしいプログラムと思います。どれも、とても楽しみです。