今日は一味違ったベルリンのクラシックコンサートをご紹介しましょう。
その名もYellow Lounge。クラシック音楽を伝統的なホールから離れてクラブで聴かせるというユニバーサル・クラシックのシリーズで、毎回ユニバーサル系のそうそうたるアーティストが登場します。言うまでもなく、クラシック音楽の聴衆拡大を狙う意図があってのことでしょう(チケットは当日販売のみで、5ユーロという安さ)。ベルリンでは2004年頃から定期的に開催されてきたそうですが、私はつい最近まで知りませんでした。2月はフランスのピアニスト、ピエール=ロラン・エマールが弾くというので、クラブに詳しい友達に連れて行ってもらうことに。
Yellow Loungeは毎月1回場所を変えて行われるのですが、今回の舞台はミッテのCookiesというクラブ(サイトにはCrushと書いてありますが、中身自体は同じだと思います)。場所はFriedrichstraßeとUnter den Lindenの交わるミッテのど真ん中、昨年20周年を迎えたWestin Grand Hotelの中庭にあります。表通りを歩いていても、この摩訶不思議な空間には気付くことなく通り過ぎてしまうでしょう。
この中には一度入ってみたかったのです。というのも、ここはもともと、DDR末期の1984年にオープンしたフランス文化センター内の映画館で、東ドイツの中では当時唯一の西側の文化センターでした。東ベルリンの人々にとっては西側世界との接点が持てる貴重な場所ゆえ、壁の向こう側の本や雑誌が読める図書館は大人気、約100席の映画館もほぼ毎回が満席だったとか(こちらの新聞記事が参考になりました)。
シャンデリアなどの内装にはDDR時代の雰囲気が濃厚に残っており、最高でした。こういう空間が予想もつかない場所に残っているから、ベルリンはまだまだ面白い!
周りを見渡すと普段からクラブに来てそうな若者ばかりで、いかにも音大でピアノ弾いてます風の人はほとんど見ませんでした。彼らがエマールのピアノソロにどういう反応をするのか、こちらも興味津々。
やがてエマール氏が登場。最近リリースされたバッハの「フーガの技法」から数曲、流暢なドイツ語で解説しながら演奏します。主催者側にとってはもちろんCDの宣伝も兼ねているのでしょうけど、これはただのPRコンサートではありませんでした。というのも、その後シューマンのエチュードから抜粋、30分の休憩の後に今度はお得意のリゲティとカーターの現代作品をたっぷり聴かせてくれ、ピアノリサイタル丸々1回のボリュームだったのです。演奏中は静かに耳を傾けていた若い聴衆も、最後は熱狂的ともいえる反応ぶりでした。
これを聴いて彼らがクラシックのコンサートにまた足を運ぼうという気になったか、それはわかりませんが、細かなジャンル分けを取っ払った大変面白い試みであったことは確かです。自分としてはクラブにもっと足を運びたくなったし、ピエール=ロラン・エマールというピアニストがますます好きになりました◎
04.02.2008 // Yellow Lounge _ Crush
Ort: Crush // Behrenstraße 55 // 10117 Berlin Mitte
Live Act: Pierre-Laurent Aimard (Piano)
DJs: Canisius (Yellow Lounge) // Terrible (washing machine)
Live Videoinstallation: Philipp Geist (Videogeist)
– 今月のYellow Loungeはこちら
Yellow Lounge _ Berghain
Montag // 03.03.2008
Berghain // Am Wriezener Bahnhof // Berlin-Friedrichshain
21 h // 5 Euro (nur Abendkasse)
DJs: Canisius (Yellow Lounge) // Mc Lyntock
VJs: Pfadfinderei
Live Act: Measha Brueggergosman (Sopran) // Justus Zeyen (Klavier)
(このブログを始めて今回がちょうど700回目の記事だそうです。ここまでよく続いてきました。今後ともよろしくお願いします!)
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今日は〜初めて聞きました、こんなクラブあるなんて。楽しそう!行ってみたいなぁ。
>>いかにも音大でピアノ弾いてます風の人はほとんど見ませんでした
そういう友達連れて行ってみようかなぁ。。。笑
5ユーロってところがベルリンらしくて素晴らしい♪またいいコンサートある時は是非とも教えてください〜。
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ホントにおもしろそうな企画ですね.
ドイツでも若い人たちをいかにクラシック音楽ファンに取り込むか,
そのきっかけみたいなものを色々探しているのでしょうかね?
日本では, いかにも日本らしくマンガ(「のだめ」)がそんなものになりつつあるような. . .
クラシックって敷居が高そうに思っていたけど, 実は聞いてみると「いいんじゃない」って若い人たちがどんどん思えるようになるといいですね.
# 私にとってはコンサートホールに行くよりクラブに行く方が敷居が高いですが(笑)
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>nanacelloさん
このクラブのサイトはこちらです。
http://www.cookies-berlin.de/
音大でピアノ弾いていそうな人はほぼ見かけませんでしたが、単に知らないだけなのだと思います。ぜひ一度行ってみてください!何らかの刺激を得られると思いますよ。
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>bugyo2さん
>ドイツでも若い人たちをいかにクラシック音楽ファンに取り込むか,
それはこちらでも大きな課題になっています。ベルリンはまだいい方ですが、地方のクラシックコンサートは若い人が少ないと聞きますね。日本も、「のだめ」のブームがほぼ去った(?)これからでしょうね。
>クラブに行く方が敷居が高いですが
私もそうかもしれません。興味はあるんですけどね。あと、始まるのが非常に遅いのがちょっと(笑)・・・