昨夜、ベルリン工科大学(TU Berlin)で構造工学を研究している友人の増渕基さんが、フィルハーモニー内部の貴重な写真をメールで送ってくれました。それは、数ヶ月前、彼が研究室の研修でフィルハーモニーの屋根裏に入ったときの写真。増渕さんといえば、昨年ベルリン中央駅の鋼材落下事故のときも、生々しい現場の写真を寄せてくれましたが、さすが専門家というべきか、今回も火災現場の写真を掲載させてもらえることになりました。
フィルハーモニー舞台上の天井の、さらにその上がどうなっているかなんて、考えたこともなかったです。では、増渕さんの案内と共に中に潜入してみましょう。
「1980年代、施工不良と老朽化が原因で、オーケストラのリハーサル直前にPodium(舞台)の上に屋根の一部が落下するというセンセーショナルな事故が起き、現在の屋内屋根は1988年に架けかえられものだそうです。音響効果や外観を重視し、形状はオリジナルのものから全く変えずに構造だけ変更しています」
「外側の鉄筋コンクリート製の屋根から、屋根裏空間と屋内屋根が鋼材によって吊られています。写真に見える束になっているスチールがその引張材です。この階段状になっている狭い屋根裏空間に、照明、スポットライト、マイク、スピーカー、滑車装置などが設置されているそうです」
2枚目の写真を上から眺めると、こんな風に見えるんですね。すごい眺めだ・・・。
「ニュースを聞く限り、火災は外側の屋根だったようなので、建物自体の構造にはそこまで影響がないと思います。ただ、楽器には至らなくても屋根裏の機械類には相当な水がかかったのでは・・・。早く復旧すると良いですね」
ところで、今朝の朝刊にこんな図が掲載されていました。火災が発生したのは屋根下の①の地点。天井部分はこのように傾斜になっているため、消火活動の際の水や泡は、坂を下って③の地点にある排水孔を通って流れ出ていました。つまり、屋根部分にも独自の排水システムが整備されていたわけで、大ホールのブロックCにいくらか水が流れ出た以外は、全くの無傷だったのです。フィルハーモニーの管理責任者、フランク・ケルステン氏は、「天才的な建築構造を生み出したシャロウンに、感謝しなければならないだろう」と語っています。
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この火事、日本ではあまりニュースにはなってません。
おおごとにはならなくてよかったですね。
いくらインターネットが発達しても、この記事のような情報(追跡情報)は
日本では手に入りにくいのでは、と改めて感じました。
こういうところがこのBLOGの意義だよなあと思います。
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貴重な写真と情報をどうもありがとう。フィルハーモニーの火災のニュースは、ベルリーナーにとって大変なショックでしたが、被害は比較的小さかったため、ホッとしています。町中が。早く復帰して欲しいですね。
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こういうリポートが貴重なんだと思います。
おかげで状況が理解できました。
ありがとうございます。
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>Kenさん
>日本ではあまりニュースにはなってません。
一般のニュースには、なかなかなりにくいのでしょうね。日本語で読めるネットのニュースは大体チェックしましたが、短い上に、どれも内容が似たり寄ったりという印象は否めませんでした。せっかくベルリンには新聞社の支局が何社もあるのに、と思うときがあります。
>こういうところがこのBLOGの意義だよなあと思います。
そう言っていただけると励みになります。ただ、ブログは、いくらがんばって書いても直接のお金にはならないんですよね。完全に趣味と割り切れればよいですが、そこがジレンマではあります。
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>キートスさん
フィルハーモニーはベルリンの宝のひとつ。Musiktempelと書いていた新聞もあったくらいです。早く元に戻ることを願っています。
本当に、貴重な写真を提供してくれた友人に感謝です。
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>HIDAMARIさん
情報を発信し続けていると、今度は情報を提供してくれる人が出てきてくれるもので、最近そういうことが増えてきました。ありがたいことです。