ベルリンのダライ・ラマ

しばらく前になりますが、5月19日の午後、ドイツを訪問中のダライ・ラマがブランデンブルク門前での集会に参加するというので、興味があって見て来ました。

集会は4時から始まるというので、少し早めに行ったのですが、もうかなりの人が集まっていました。ダライ・ラマの今回のドイツ訪問は、ドイツのチベット団体がすでに3年前から計画していたものだそうですが、3月のチベット暴動からまだ間もないこともあって、この日ブランデンブルク門には2万5千人もが集まったといいます。チベットの旗や「Free Tibet」と書かれたグッズも、飛ぶように売れていました。

集会では、チベット出身の歌手やドイツの人気バンドなどが演奏したり、ベルリンの野党の政治家が何人か現れて、中国や今回ダライ・ラマに会わなかったベルリン市長を非難する演説(というほど長くないですが)が始まったりしました。その合間に、男性の司会者が、「ダライ・ラマが登場したら、みんなで”Tashi Delek”とチベット語で挨拶しましょう」と言って、掛け声の練習になったりもしますが、当のご本人はなかなか現れません。ずっと立ちっぱなしで、私もさすがに疲れてきました。

5時20分頃、ようやくダライ・ラマが登場。ベルリンは今回の最後の訪問地ということで、少し疲れているようにも見えましたが、集まった人々は熱狂的に歓迎しながらも、話が始まると静かに聞き入っていました。四川大地震の犠牲者への追悼から話を始めたのが印象的。「私たちが問題にすべきなのは、『人権』とか『人間性』ということであって、『反中国』とか『親チベット』ということではありません」と語るなど、中国への一定の配慮を見せているようにも感じました。

それにしても、ダライ・ラマのドイツでの人気はすごいものがあります。新聞によると、すでに30回以上もこの国を訪れ、10月には新しいアリーナで講演のため再びベルリンにやって来る予定で、すでにチケットの前売りも始まっています。本屋では、関連の書籍が山積みになっていたし、もはやポップスターのようでもあります。
(ドイツでのダライ・ラマとその素顔について、毎日新聞の小谷守彦記者による興味深い記事を見つけました。こちらより)

ダライ・ラマが前に座っていた子供に飴を差し出すなど、和やかなムードで話が終わるやいなや、あちこちで風船が上がり始めました。「皆さん、ちょっと待ってください!風船を上げるのはまだ先ですよ~」という司会者の引きとめも何のその。集会はこの後も続きましたが、多くの人が一斉にゾロゾロと帰路につき始めたところを見ると、彼らがここに来た目的は、ダライ・ラマを生で見ること(だけ?)だったようです。かくいう私も?



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4 Responses

  1. pfaelzerwein
    pfaelzerwein at · Reply

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    七回表の阪神ファンのようですね。前を走行していた車がなにかをつけているかと思うと、「チベットへ自由」をと云ったスローガンで、インヤンマークと一緒にステッカーが貼ってありました。

    仏教人気のみならずタオイズムなどへの関心は、ドイツが伝統的に最も高いので、ダライラマも人気がありますね。

  2. クルツ
    クルツ at · Reply

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    まさとさんお久しぶりです
    ブランデンブルグに2万5千人はすごいですね
    アリーナ講演もたくさんの人が集まるでしょうね
    ただその中にはてして何人の人がチベット仏教に関しての深い精神性なりを理解してるのかは疑問です
    仏像をRabattしてチラシに載せているような国ですから

  3. berlinHbf
    berlinHbf at · Reply

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    >pfaelzerweinさん
    >七回表の阪神ファンのようですね。
    今でもやっているのでしょうか。思わずニヤリとしてしまいました。

    >仏教人気のみならずタオイズムなどへの関心は、
    >ドイツが伝統的に最も高いので、
    そうなのですか。ドイツ人の旅行好きや、エキゾチックな国への憧れとも関係があるのかもしれませんね。

  4. berlinHbf
    berlinHbf at · Reply

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    >クルツさん
    お久しぶりです。最近ベルリンにいらしていたとか?会えなくて残念でした。

    >仏像をRabattしてチラシに載せているような国ですから
    これにも思わずニヤリときました^^;)。キリスト教国にしてEUの大国ドイツで、ダライ・ラマがこれだけ尊敬されているというのは、やはり興味深いことだと思います。10月の再訪問も、また大きな話題になることでしょうね。

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