先日の夕方、東京駅で人と落ち合った際、少し時間があったので10番線ホームに足を運んでみた。久しぶりに「ブルートレイン」を見たいと思ったのだ。
「夜行列車」や「ブルートレイン」という響きには、旅心をかきたてる魅惑的な何かがある。私は子どもの頃このブルートレインに憧れて、家族で東京に出るときは、両親にせがんでよく東京駅に立ち寄ってもらい、なんとはなしに列車が発車していくのも眺めていたものだ。1980年代の東京駅9、10番線ホームには、独特の華やかさがあったと記憶している。
だが、ここ数年、夜行列車の凋落が著しい。乗車率の不振と車体の老朽化という理由から、東京発のブルートレインも次々に消えていった。乗る人がいないのだからしょうがないのだが、夜行列車が元気なヨーロッパのことを思うと、何とかならないものかという思いも一方である。
発車まで少し時間があったので、車内をのぞいてみた。ちょうど20年前の夏休み、この「はやぶさ」に乗って九州に旅した頃から、内装や設備が全く変わっていないので驚く(A寝台個室とB寝台)。いかにもくたびれた感じで、乗車率も50%を明らかに下回っていた。
それでも、マニアの皆さんの間では根強い人気があるようで、機関車の連結のシーンにはこれだけの人が集まっていた(一部女性の姿も)。
18時03分、「はやぶさ・富士」号は夕闇の東京駅を発って行った。この列車も近い将来になくなるらしいと聞いたことがあるが、実際はどうなのだろうか。残念だけれど、おそらくもう乗る機会はないような気がする。
※追記:
残念ながら、寝台特急「はやぶさ」は翌2009年3月13日をもって廃止となりました。