ベルリン王宮の再建が延期に

王宮の完成図が壁に描かれた「フンボルト・フォーラム」のインフォ・ボックス。1ユーロ払えば屋上から眺めることが可能
先頃、連邦政府は2014年までに建国以来最大とも言われる総額800億ユーロ(約9兆2000億円)の歳出を削減する方針を明らかにしました。今後、社会保障などさまざまな分野での歳出削減が予想されますが、首都ベルリンでも、ある巨大事業のプランが大きく方向転換を迫られることとなりました。
ホーエンツォレルン家の王宮の再建です。プロイセン時代に端を持ち、1950年に東独政府によって爆破されたバロック様式の王宮の再建は、近年ベルリンにおける最大のプロジェクトと言われています。この王宮は、プロイセン文化財団の博物館や図書館などを収容する複合文化施設「フンボルト・フォーラム」として生まれ変わる予定で、建設費用は総額5億5200万ユーロ(約634億8000万円)と見積もられています。うち、連邦政府が全体の約8割に相当する4億4400万ユーロ、ベルリン市が3200万ユーロを負担し、残る8000万ユーロは募金で賄われることになっています。とにかく途方もない額であることは確かです。
昨年1月、イタリア人建築家フランコ・ステラの建築プランが採用されることに決まった際、当レポートでは「2010年着工、14年完成予定」と伝えましたが、今回の歳出削減策により、「早くとも14年からの着工」と決められたのです。
この決定に対する政治家の反応は、さまざまです。ベルリンのヴォーヴェライト市長は「この短絡的な決定によって、『フンボルト・フォーラム』の将来は完全に不確実なものとなった」と非難。それに対し、緑の党の建築専門家は「王宮の外観と、世界の文化の対話の場という『フンボルト・フォーラム』の理念は一致しない」、左派党のフリエール前文化大臣は「(莫大な費用が掛かる王宮の復興という形にはこだわらずに)現代建築のコンペを新たに行うべきだ」などと、王宮の再建にそもそも否定的な発言をしています。
王宮建設予定地。共和国宮殿の解体後は芝生になり、市民の憩いの場に
一方、最近の世論調査では、ベルリン市民の約8割が「この財政危機の中で、王宮再建は諦めるべき」との考えであることが明らかになりました。どうやら一般市民も、古風なバロック様式のお城を再建することに、あまりポジティブな思いを抱いていないようなのです。
博物館島やダーレム博物館が建てられた時の例を見ても、ベルリンの巨大プロジェクトには予定よりも大幅に時間が掛かるのが常とはいえ、王宮再建においても今後さらなる紆余曲折が予想されそうです。ちなみに、ブランデンブルク門からアレクサンダー広場までの地下鉄U5の工事は、予定通り続けられるとのこと。
ドイツニュースダイジェスト 7月30日)

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2 Responses

  1. うのっち
    うのっち at · Reply

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    ドレスデンの(旧)市街をみても思うのですが、修復ならともかく、ゼロから完全に昔の建物や街並みを取り戻すのは、至難の業のようですね。正直なところ、王宮を完全に再現できたとしても、その建築にどれほどの意味があるのかどうか、僕は確信がもてません。黒い森のお城から王子様が凱旋して帝政復活とかならともかく、左派が指摘するように、現代の文化活動のための施設を作るのに「王宮」をわざわざ建てなくてもいいんじゃないかって気もします。かといって、ふつーのモダン建築でも(それこそP広場のように)味気ないものになるだろうしなぁ、うーむ。

  2. berlinHbf
    berlinHbf at · Reply

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    うのっちさん
    先日は本当にいろいろどうも!
    >ゼロから完全に昔の建物や街並みを取り戻すのは、
    >至難の業のようですね。
    まったくそうですね。ドレスデンの聖母教会の再建も、確かに気の遠くなる作業でしたが、少なくともパーツは残っていたわけだし、再建の意義もそれなりに納得できるものでした。
    それに比べると、ベルリン王宮は、一旦完全に消えてからもう60年が経っているわけで、「なぜ今になって?」という市民を納得させるのはなかなか難しいでしょうね。

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