発掘の散歩術(23) -フンボルト・ボックスから眺める未来のベルリン-

Unter den Linden (Ohne die Linden?) 2012年2月
ブランデンブルク門から東に延びるベルリン随一の目抜き通り、ウンター・デン・リンデンを最近初めて歩いた方は、びっくりされたかもしれない。「菩提樹の下」の通り名とは裏腹に、菩提樹の並木道がきれいになくなっている部分に出くわすからだ。
実はこれ、ある工事のための措置。ブランデンブルク門からアレクサンダー広場まで全長2.2キロの地下鉄U55の拡張工事が、2019年の完成を目指して間もなく始まるのである(菩提樹はその後、新たに植え直されるそうなのでご安心を)。
ウンター・デン・リンデンの先を行くと、さらに注目を集めるであろう巨大プロジェクトの現場が見えてくる。1950年までここに建っていたホーエンツォレン家の王宮の再建だ。
ウンター・デン・リンデンの向こうに見えるフンボルト・ボックス
ルストガルテンの向かいの広大な敷地に今、八角形の奇抜な建物が立っている。その名も「フンボルト・ボックス」。「フンボルト・フォーラム」という名称で呼ばれる王宮の再建に関する情報センターだ。昨年夏のオープン後、観光客だけでなく地元住民にもなかなかの評判を呼んでいるというので、入ってみることにした。
王宮の地下部分。貴重な部分は将来的に保存されるという
入場料を払って階段を上っていくと、まるで巨大な遺跡の発掘現場のような、裏手の敷地を見下ろせる場所がある。ここで掘り起こされているのは、かつての王宮の地下部分。将来、新しい地下鉄はこの真下を通る。
その先には、王宮の歴史と再建プランが、映像や模型なども交えて詳しく紹介されていた。建設費用の5億5200万ユーロのうち、8000万ユーロは募金で賄われることになるため、ここは訪れる人へのアピールの場でもあるのだ。そのため、自動募金機なるものも置かれていた。
上の階は、将来フンボルト・フォーラムに収容される国立民族学博物館とアジア美術館からの展示。シルクロードの遺跡や、見たこともないようなアフリカの生物の標本などがいきなり置かれているものだから、びっくりする。もともと、膨大な費用をかけて王宮を再建することは、ドイツ人の間でも意見が真っ二つに分かれた。ここに2つの非ヨーロッパ系のミュージアムを移すのは、王宮再建が決して単なる復古ではなく、世界に開かれた場所であることを示す狙いもあるのだろう。いずれにせよ、フンボルト・フォーラム は、ヨーロッパ5000年の文化財を収めた向かい側の博物館島と好対照をなすことになる。
最上階まで上ると、そこは展望台兼レストラン。東の方向にはウンター・デン・リンデンとその奥のブランデンブルク門をきれいに見渡せた。何とも絶妙な位置に造ったものである。この眺めを体験するだけでも、入場料を払う価値はあると感じた。
連邦政府の財政削減策から延期 されていた王宮再建だが、いよいよ2014年から始まるという。完成は2019年の予定だ。楽しみでもあるけれど、「やれやれ、ベルリンの中心部はまた工事現場だらけになるのか」という思いとが相半ばしている。
ドイツニュースダイジェスト 6月1日)
Information
フンボルト・ボックス
Humboldt Box

2011年7月のオープン後、入場者数は27万人を越え、ベルリンの中心部で最も人を呼ぶ場所の1つになった。展示 は20時までだが、屋上のレストラン・カフェは23時まで営 業(月曜は20時まで)。入場料は4ユーロ(割引2.50ユーロ)。 フンボルト・フォーラムの建設が始まった後は、工事現場 を一望できる場所にもなる。
住所:Schlossplatz 5, 10178 Berlin
電話番号:01805 030 707
オープン:毎日10:00~20:00
URL:www.humboldt-box.com
ベルリン大聖堂
Berliner Dom

1905年に完成したバロック様式の壮麗なプロテスタント教会。第2次世界大戦の空爆で大きな被害を受けた後、1975年から93年まで長い年月を掛けて修復された。ホ-エンツォレルン家の菩提寺としても知られ、地下の霊廟にはフリードリヒ1世、フリードリヒ・ヴィルヘルム2世など、歴代の王族の墓が並ぶ。天蓋部分からの眺めも素晴らしい。
住所:Am Lustgarten, 10178 Berlin
電話番号:(030)20269 136
営業:月~土9:00~20:00、日祝12:00~20:00
URL:www.berlinerdom.de

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4 Responses

  1. Jens
    Jens at · Reply

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    ウンターデンリンデンは伐採のニュースを先に見てたので先日訪れて木がないだけではなく工事中の風景になってしまっててちょっと残念な気分でした。また元の姿に戻る日を待ちたいと思います。王宮工事・・・再開といっても2014年からですか(^^; いつ行ってもどこかしら工事中の街ですが、まだまだ続きそうですね。

  2. berlinHbf
    berlinHbf at · Reply

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    Jensさん
    コメントありがとうございます。
    >再開といっても2014年からですか
    そうなんですよ。このユーロ危機の中、王宮の再建どころじゃない状況に陥ってしまうのでは、なんていう思いもよぎります。まずは新空港の開業ですが、これだって一体どうなるのやら・・・

  3. kumakko
    kumakko at · Reply

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    初めまして。いつも楽しく拝見しております。
    ここ4年ほどご無沙汰しておりますが、ベルリンにはもう十数回行きました。
    先月(ようやく!)ベルリン王宮再建の起工式が催されたというニュースを見ました。
    とかく批判の多いプロジェクトではありますが、ユーロ危機で他国に脛をかじられてばかり、と感じているドイツ人からすれば、同じ浪費ならコッチの方がよほどマシ、なのかもしれませんね。

  4. berlinHbf
    berlinHbf at · Reply

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    kumakkoさん
    はじめまして、コメントありがとうございます。
    王宮の再建は、私の気付かないうちにいつの間にか始まっていたという感じです。息の長いプロジェクトですから、気長に見守ることにしたいと思います。

    >同じ浪費ならコッチの方がよほどマシ、なのかもしれませんね。
    確かに(笑)。当初は私も批判的な立場ではありましたが、ここまできたら、何とか完成させてほしいものです。

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