日本から旅行で来る方々と話していると、ザクセンハウゼン強制収容所跡に興味のある方が結構多い。つい先日も、ある女子大生の方と話していたら、今日の午後、これからザクセンハウゼンに行くという。若い今風の学生さんが一人で収容所跡に行くというのに私は少し驚き、話を聞いてみたら、学生時代に『シンドラーのリスト』をはじめ、いくつかの映画を見て興味を持つようになったのだという。私は行き方の簡単な地図と見どころを紙に書いて彼女に渡した。
ザクセンハウゼンのことは、日本語での情報が少ないこともあり、一度まとまった形で紹介したいと思っていた。私はこれまで何度か訪れているが、ちょうど先週末、プライベートで久々に行ったばかりだ。そして、この数日間、日本で「アンネの日記」が相次いで破られるという恥ずべき事件が度々報道されている。この機会にブログに書いてみようと思い立った。
今回ご紹介する写真は、2007年2月に初めて訪れたときのものと、先週末に撮ったものとが中心だ。フリードリヒシュトラーセ駅からS1(20分毎に出ている)に乗って北に約45分。終点のオラニエンブルク駅に到着する。ここはもうブランデンブルク州。ベルリン交通局のチケットはCゾーンになる。
立派な外観の駅舎を持つオラニエンブルク駅。もともとベトツォウ(Bötzow)と呼ばれていたこの街が「オラニエンブルク」に変わったのは、17世紀にさかのぼる。大選帝侯フリードリヒ・ヴィルヘルムの最初の妃、ルイーゼ・ヘンリエッテ・フォン・オラニエンはオランダ王家の出身だった。彼女はこの街をとても気に入り、オランダ風の城を建てることを命じ、城の名をオラニエンブルクと名付けたのだった(ここもいつか訪ねてみたい)。
駅前のバス停から、804か821という収容所跡(Gedenkstätte)行きのバスが走っている。だが、どちらも1時間に1本程度しか出ておらず、週末は804番が2時間に1本出ているだけ!ここでは徒歩での行き方をご紹介したい。駅前のStralsunder Str.をドラッグストアのdmの方向にまっすぐ行くと、Bernauer Str.という大通りにぶつかり、ここを右に曲がる。
列車のガード下をくぐり、しばらく歩くと、Straße der Einheitという大きめの通りと交差する。ここを左に曲がれば、やがてこの記念碑が見えてくるだろう。強制収容所が解放された後、1945年4月のいわゆる「死の行進」を追悼する碑だ。
その記念碑を曲がると、Straße der Nationという通りに入る。強制収容所跡の入り口は、この突き当たりだ。駅からここまで徒歩で約20分。タクシーに乗っても10ユーロ弱ではないかと思う。ここで帰りのバスの時間を調べておくのも手だろう。
入口から奥に見える建物が、インフォメーション。まずはここに立ち寄って、各国語で出ているパンフレットと地図を手に入れよう。日本語版はないものの、受付で聞くと、A4版の日本語の翻訳を出してくれる(私が行ったときは1ユーロだった)。これがあるとないとでは大分違うので、ぜひ聞いてみていただきたい。書籍のコーナーも充実している。オーディオガイドは現在のところ英独だけだと思う。
ナチス時代の他のいくつもの強制収容所同様、ザクセンハウゼンも正三角形の幾何学的な構造を持っている。底辺の真ん中に位置する入り口までは、ここからさらに歩かなければならない。
やがて見えてくる収容所の本当の入り口。オラニエンブルクの駅からここまで、かれこれ30分は歩いたことになる。
(つづく)
SECRET: 0
PASS:
moさん
コメントありがとうございます。まさかあの時の方から直接コメントをいただけるとは思ってもいなかったので、とてもうれしかったです。お話したのは短い時間でしたが、「しっかりした学生さんもいるのだなあ」と感心してしまった次第です。ここを訪れたことは大きな経験になったようですね。ザクセンハウゼンの話はまだ続きますので、またいつでもコメントしてくださいね。これからのご活躍を願っています!
初めましてこんにちは。
ザクセンハウゼンに行こうかなぁと思い調べていたところ、こちらの記事を見つけました。
私のドイツ語力では展示物の説明等を読んでもきちんと理解することは出来ないので、日本語で予備知識を入れておこうと思った次第です。
とても分かりやすく参考になる記事を書いて頂いて、大変助かります。
ところで、今の新しいブログだと、「ザクセンハウゼン強制収容所跡を歩く(2)」が抜けているようです。エキサイトブログの方では見ることが出来ましたので、移行の際に漏れてしまったのでしょうか。。
せっかくシリーズで書かれたのにもったいないなぁと思い、コメントさせて頂きました。ご確認くださいませ。
はじめまして、貴重なご指摘をありがとうございます。
おっしゃる通り、エキサイトブログからの移行の際に、抜け落ちてしまった記事がちらほらあるようです。
こればかりは1つ1つ手作業でチェックしていくしかありませんが、このザクセンハウゼンの記事は今も読んでくださっている方が結構いらっしゃるようなので、早めに修復するようにいたしますね。
取り急ぎお礼まで。
[…] ザクセンハウゼン強制収容所跡を歩く(1) -駅からの道のりベルリン中央駅 […]