猛暑の日本から戻って2週間。ベルリンは予想外にいい天気が続いており、なんだかうれしいです。今回の一時帰国中に購入したソニーのコンパクトデジカメで撮った、最近の街の様子をいくつかご紹介したいと思います。
最初の2枚は、建設が進むベルリン王宮(フンボルト・フォーラム)の様子。隣接する大聖堂の天蓋からは、こんな風に望めます。このペースで建設が進めば、ベルリンの新空港よりも早く完成するかも(?)。そういえば、ベルリンに戻った翌日、クラウス・ヴォーヴェライト市長が空港問題の責任を取って辞任を発表しました。私がベルリンに住んできた大部分の期間が、ヴォーヴェライト市長の任期と重なります。いろいろ批判もされましたが、マイノリティを大事にするヴォーヴェライト氏がこの街の市長だったことは、外国人の私にとって、何となく安心感がありました。
一時期はすっぽり工事用の覆いが被さっていたカイザー・ヴィルヘルム記念教会も、ようやくここまで顔を見せるようになってきました。2010年から始まってもうかれこれ4年、ようやくこの11月に修復工事が完了する予定だそうです。
8月末、久々にブランデンブルク門を訪れたら、パリ広場の前に新しいパネルが設置されていました。今年9月1日が第2次世界大戦の開戦から75年ということで(大戦は、ドイツがポーランドを侵攻したことにより始まりました)、Vernichtungskrieg in Polen(ポーランド掃討戦)に焦点を当てたもの。その横には、ドイツ語、ポーランド語、英語の3つの言語で無料の解説書が置かれていたのが印象に残りました。今回の一時帰国で、久々に広島・長崎の原爆の日や終戦記念日の前後を日本で過ごし、さまざまな報道に接しましたが、日本とドイツの過去の歴史の伝え方の違いに、改めていろいろ考えさせられた次第です。
8月末のある日、ベルリン中央駅を利用したら、駅の真ん中のスペースに特設ステージが設けられ、現代音楽の音楽祭が開かれていました。もちろん入場無料です。時間の関係でリハーサル風景を見ただけですが、こういう開放的な文化イベントに接すると、「ベルリンに帰ってきたなあ」という気持ちを強くします。
そして、ベルリン・フィルハーモニーでも2014/15シーズンが始まりました。私が最初に聴いたのは、ティーレマン指揮ドレスデン・シュターツカペレ。久々にフィルハーモニーの空間で音楽に浸り、充実した演奏と相まって、胸が熱くなる時間を過ごしました。開演前に立ち寄ったのが、9月2日にフィルハーモニーの前で除幕されたばかりの新しい記念碑。ナチス時代、ティーアガルテン通り4番地だったこの場所で、多くの人々がナチの安楽死政策の犠牲になりました。来年で終戦から70年になるいまも、このような身近な場所で、批判的な視点をもって過去の歴史と対峙する作業が続けられています。