ベルリンの2月の公演見どころ

W杯に向けての舗装工事が進む、ウンター・デン・リンデンにて。後ろの建物はベルリン州立歌劇場(2005年12月)
寒い季節はまだまだ続くが、2月のベルリンはとても華やかだ。何といっても、世界3大映画祭のひとつであるベルリン国際映画祭(ベルリナーレ)が開催される(9日から19日まで)。世界中からスターがやって来て、チケット売り場では長い行列ができ、町は映画祭一色になる。昨日から街中の映画館でプログラムが配布されるようになり、私は先ほどパラパラめくっていたところだ。ベルリナーレについてはまた別の機会にお話しするとして、2月のクラシックとオペラの見どころをざっとご紹介してみたい。演劇まで含めるとボリュームが半端ではなくなるので、それらについては観たら感想を書くということでお許しいただきたい。
●まずはフィルハーモニー。今月ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団を指揮するのは、ウェルザー・メスト、ペトレンコ、ハイティンク、ラニクルズの4人だが、注目は何といっても、キリル・ペトレンコのベルリン・フィルデビューだろう。シベリアのオムスク出身のペトレンコは、2002年以来コミッシェ・オーパーの総監督を務めている。確かまだ30代前半のはずだ。日本ではまだあまり知られていないようだが、私は彼のオペラやコンサートを聴いてすごい才能だと思い続けてきた。今からとても楽しみな公演のひとつ。曲目がバルトークのヴァイオリン協奏曲2番と、ラフマニノフの交響曲2番というのも、彼のよさが生きるプログラムだと思う。室内楽ホールでは、ピアニストのエマニュエル・アックスとベルリン・フィルのメンバーが奏でるフランス音楽中心のコンサート(13日)と、フライブルク・バロック管(6日)あたりがおすすめか。フライブルク・バロック管は古楽グループの中では最高峰、と指揮を勉強している友人が言っていたのを思い出す。
●クリスチャン・ティーレマンが音楽監督を退き、地味な印象が続いているベルリン・ドイツ・オペラだが、R.シュトラウスの「アラベラ」という、久々にドイツもののプレミエ作品を迎える(12日)。指揮がティーレマンだったらととは思うが、これはないものねだりだろう。今回のプレミエを振るのは中堅のウルフ・シルマー。他に、コルンゴルトの「死の都」という珍しい作品も上演されるので、個人的にはぜひ観てみたい。シュターツ・オーパー(州立歌劇場)では、評判のよかった「アルジェのイタリア女(ロッシーニ)」の再演もあるが、12日から始まるバロック・ターゲが何といっても目玉だ。古楽の第一人者、ルネ・ヤーコプスが指揮するバロック・オペラは、毎回最高の質とセンスにあふれている。今回の演目はモンテヴェルディの「ポッペアの戴冠」で、パリのシャンゼリゼ劇場他との共同制作とのこと。他には、パーセルのオペラ”Dido & Aeneas”が上演されるのだが、これは何とあのサシャ・ヴァルツが振り付けを務めるというからびっくりする(こちらを参照)。このダンスと古楽との新鮮なコラボレーション、ぜひ観てみたいところだが、2公演のみなのでチケットは早めに手配した方がよさそうだ。他には、ベルリン・コミッシェ・オーパーでも、ヘンデルの「オレスト」という珍しいバロック作品がプレミエを迎える。
外が寒くても、こういったものを気楽に観に行ける環境にいられることを思うだけで、私はちょっと元気が出てくる。それにしても今月は、いくらお金と時間があっても足りない・・



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