イエス・キリスト教会でのレコーディング風景

先週は3日間、ダーレムにあるイエス・キリスト教会でのレコーディングを見学することができました。2月にインタビューをさせていただいた佐渡裕さん指揮するベルリン・ドイツ交響楽団(DSO)の初録音(チャイコフスキーの交響曲第5番)が、ここで行われたためです。
2年前、この教会に初めて入ったときは、想像していたよりもずっと小ぢんまりした印象を受けたのですが(以前こちらでご紹介しました)、今回は違いました。木製の長椅子は後方に押しやられ、16型のフルオーケストラでも十分な余裕があります(昨年はここで、ブーレーズ指揮のマーラー「千人の交響曲」が録音されているくらいです)。ステンドグラスからの温かい光が差し込む教会内部は、いくつものマイクが張り巡らされ、今まで写真でしか見たことのなかった、あの名録音会場に変わっていました。
オーケストラのスタジオ録音を見学するのは初めてでしたが、ライブ録音とは別の難しさがあることを感じます。一発録りのライブと違って、何度も録り直しが効く分、演奏者の集中力が切れてきてしまう危険があるからです。彼らをいかに飽きさせず、高揚感を保ちながらセッションを進めて行けるがポイントになると思いますが、その点、佐渡さんとDSOはしっかりした共同作業の形ができていました。ディレクターからは何度も注文が飛び、その度に録り直しとなりますが、彼らは忍耐強く取り組み、3日間のセッションはいい雰囲気の中で終了しました。
イエス・キリスト教会のすばらしい響きについては、もう言うに及ばず。チャイコフスキーの第1楽章のほの暗く、重々しい響きから、もうすっかり感動してしまいました。特にドイツやロシアものは、ここの音響と完全にマッチするでしょうね。
初日のレコーディングの後、佐渡さんは「僕はずっとイエス・キリスト教会でのカラヤンの録音を聴いて育ってきたから、今自分がここに立ってチャイコフスキーを指揮しているのが夢みたいだよ」としみじみ語っていました。このCDは、秋にエイベックスから発売されるそうです。
参考:
ベルリン・ダーレムのイエス・キリスト教会
佐渡裕さんインタビュー - 「音楽の友」5月号 –

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12 Responses

  1. よんちゃん
    よんちゃん at · Reply

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    こんにちは。
    初めてコメントさせていただきます。
    カラヤン/ベルリン・フィルの録音会場として使っていたイエス・キリスト教会。そこでのレコーディングが見学できるなんて凄いですね!この3枚の写真は僕には貴重なものになると思います。早速PCに保存しました。

  2. galahad
    galahad at · Reply

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    「題名のない音楽会」で、ちょうど佐渡さんがレコーディング前にこの教会を訪れるところを放送していました。
    すばらしい建物ですね。 番組中で言われていたのですが、狭いようで広い(?)ってどういうことなのかな。  

  3. TanteOL
    TanteOL at · Reply

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    度々失礼します。お元気でいらっしゃいますか?
    素晴しい録音に立ち会われたのですね。チャイコフスキーのシンフォニーは5番も4番もかなり好きな曲です・・・
    今となっては、masatoさんの方が佐渡くんのことをよくご存知ですね・・・大学時代の彼は、いつもエネルギーにあふれていて、とても魅力的でした。指揮科はありましたが、学生がいなかったので、文化祭でのミュージカル「Sound of Music」の上演や、新入生歓迎コンサートでのバッハのカンタータ演奏など、彼の指揮で歌ったことを思い出します。今から思えば贅沢なことでした・・・

  4. ぐらっぱ亭( ̄ー ̄)
    ぐらっぱ亭( ̄ー ̄) at · Reply

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    私もたまたま「題名のない音楽会」でこの話は佐渡裕自身の解説でカラヤンへの憧れの原点がここだと知りました。その録音現場に立ち会えるなんて、なんと幸運なのでしょう。羨ましき限りです。

  5. Ken
    Ken at · Reply

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    この記事のテーマと関係なくてすみませんが、教会のステンドグラスがきれいですね。ケルン大聖堂のリヒターの窓に似てる??
    プロフィールの写真もしょっちゅう変わって楽しんでます。

  6. berlinHbf
    berlinHbf at · Reply

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    >よんちゃんさん
    最近は経費削減からライブレコーディングが主流なので、この教会でのセッションに立ち会えたのは、本当にラッキーでした。1971年に録音されたカラヤンのチャイコフスキーを聴いては、余韻に浸っています。

  7. berlinHbf
    berlinHbf at · Reply

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    >galahadさん
    >狭いようで広い(?)ってどういうことなのかな。  
    説明するのは難しいのですが、確かにそういう感じがありますね。初めて教会の中に入ったときと、この前のレコーディングのときとでは、全く違う印象を受けました。

  8. berlinHbf
    berlinHbf at · Reply

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    >TanteOLさん
    学生時代の佐渡さんの様子が伺うことができて、興味深いです。
    とにかく何でも貧欲に取り組んでおられたのですね。それがいまの「題名」などの仕事に生きているのかもしれません。

  9. berlinHbf
    berlinHbf at · Reply

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    >ぐらっぱ亭さん
    佐渡さんはカラヤンに憧れるあまり、指揮マネなども相当されたようです(笑)。ウィーン留学時代、晩年のカラヤンの指揮ぶりに何度か接したことが、大事な思い出になっているといいます。

  10. berlinHbf
    berlinHbf at · Reply

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    >Kenさん
    プロテスタントの教会なので内部は簡素ですが、このステンドグラスはなかなか素敵でした。実はそんなに古い教会ではないんですよね。

  11. livekuma
    livekuma at · Reply

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    昨日、私もイエス・キリスト教会に行ってきました。
    個人的には、もう5回以上は行ったと思います。
    昨日は、日曜でミサをやっており、教会についての本や、絵葉書も売っていました。
    最近の録音では、ベルリンフィルとラトルが「幻想交響曲」を録音したようです。(ただし、これは、先日のベルリンフィルハーモニーの火事でフィルハーモニーで使えなくなったための緊急処置だったようです。)
    個人的には、こちらのほうが、録音で聞くベルリンフィは、良く鳴っているようですが、いかがでしょうか?

  12. berlinHbf
    berlinHbf at · Reply

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    >livekumaさん
    コメントありがとうございます。イエス・キリスト教会でのミサ、いいですね。
    ラトルの「幻想」のコンサートはテンペルホーフの格納庫で行われましたが、レコーディングはどうなったのか気になっていました。ちょっとうれしい誤算でしょうか。実際に録音を聴いてみるのを楽しみにしています。

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