ラディアルシステムで聴くヴァイオリンとチェンバロのデュオ

Holzmarktstraseにて(6月14日)
東駅から徒歩5分のラディアルシステム(RadialsystemV)に久々に足を運ぶ機会があった。2006年の9月にオープンしたこの文化複合施設は、古楽から前衛まで幅広いジャンルのアートを扱い、ベルリンの人々にもすっかり認知されてきた感じがある。最近は、ベルリン放送響などのオーケストラも時々ここでコンサートを行うようになっているが、音楽を聴くのは初めてだった。
この日聴いたコンサートは、ミュンヘンのECMレーベルとラディアルシステムとの共催によるShared Soundsというフェスティバルの一環で、カロリン・ヴィドマン(ヴァイオリン)と北谷直樹(チェンバロ)のデュオ。「新旧のイタリア音楽。コレッリからシャリーノまで」というタイトルが付いていた。
それはまさに至福の時間だった。
コレッリのソナタで始まり、ベルリンのフリードリヒ大王のもとでも活躍したフランツ・ベンダのソナタ、クープラン(チェンバロ・ソロ)、大バッハのソナタ、フレスコバルディ(チェンバロ・ソロ)、最後はイタリア後期バロックの作曲家ヴェラチーニの華やかなヴァイオリン・ソナタで結ばれる。そしてその合間に、シチリアの現代作曲家サルヴァトーレ・シャリーノの超絶難曲(少なくともそう聴こえた)、《6つのカプリッチョ》(ヴァイオリン・ソロ)が織り込まれるという、何とも刺激的なプログラム。それだけに演奏家に要求される集中力も相当なものだと察せられたが、夜の10時に始まったコンサートは約1時間45分、休憩なしで一気に続いた。
極めて高い技巧を持ちながら、決して外面的な効果に陥らないヴィドマンというヴァイオリニストもすばらしかったが、北谷直樹という卓越したチェンバロ奏者に出会えたことが大きな収穫だった(このコンサートを教えてくれた友人に感謝!)。ソナタでは絶妙のサポートを見せ、フレスコバルディのソロでは日本人離れした高い表現力を垣間見させてくれた。北谷さんはスイス在住で、作曲やジャズの演奏まで行う方らしい。以前ここでご紹介したことのあるリコーダー奏者のモーリス・シュテーガーとはしばしば共演し、CDも出しているという。あのシュテーガーとのデュオはさぞやスリリングなものに違いない。終演後に北谷さんと少しお話しすることができたが、機会があればぜひ聴いてみたいと思った。
客入りはそれほどよくはなかったものの、ラディアルシステムのお客さんの雰囲気がとてもよかった。本当に音楽を聴きたい人だけが集まってきている感じで、曲目が進むにつれ熱気の度合いは高まっていく。演奏後には、ベルリン古楽アカデミーのコンサートマスター、シュテファン・マイと演奏者によるトークセッションまで用意され、12時半近くまで心から楽しむことができた。久々にバロック熱がよみがえった一夜でもあった。
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