ベルリン放送響で聴くヤナーチェク2曲

ベルリン放送交響楽団の演奏で、レオシュ・ヤナーチェクの作品を2曲聴く機会があった。
まず、昨年11月20日に聴いた〈グラゴル・ミサ〉。指揮は音楽監督のヤノフスキ。このミサ曲はベルリンでもめったに演奏されることがない。2000年9月にラトルがベルリン・フィルを指揮したのと(私がベルリンに来る直前で聴けなかった)、2003年春にギーレンがベルリン響を振ったのと(これは聴いたがあまり印象に残っていない)、他にあったかないか。実は学生時代に、あるアマチュアオケでこのミサ曲を演奏したことがあるのだが、独特のアクの強さ(?)が耳から離れず、〈シンフォニエッタ〉に比べてその時もあまり深くのめり込めなかった。でも、そうそう実演に触れることのできない曲だからと、チェコ文化を研究している友達と今回聴きに行ってみたら、これが実に素晴らしかった。
まず冒頭、荘厳なファンファーレではなく、快速でエネルギー全開の「イントラーダ」(通常は一番最後にくる)で始まったものだから、椅子から転げ落ちそうになった。プログラムをよく見ると、1926/27の初稿版とある。これは初めて聴くものだった。「グロリア」もCDで聞き慣れている音楽に比べて、響きの生々しさにおいて際立っている。印象的だったのは、「クレド」の中間部に出てくるクラリネット3本のソロ(ソリ?)で、バンダとして舞台後方の客席の場所から演奏させていたことだ。この部分の歌詞を読むと、「主はわれら人類のため、またわれらの救いのために天よりくだり」とあり、ヤナーチェクはまさに天上からの響きをイメージしてあのメロディーを書いたのだろうと納得した。そういう叙情的な部分も素敵だったのだが、このミサ曲全体にみなぎる荒々しさ、そしてはち切れんばかりの生命力は一体どう表現したらいいのだろう。ヤノフスキ&ベルリン放送響は、昨年のベートーヴェン・チクルスで見せた好調さを持続し、私のこの曲に対するイメージを刷新してくれた。同放送合唱団のマッシブでありながら透明感のあるコーラスも万全。最後2曲のあのかっこいいオルガンソロ、そして冒頭にも奏でられた「イントラーダ」には本当に興奮した。ヤノフスキはすごい形相で追い込みをかけるし、金管群はもうノリノリ状態(笑)。この日の演奏は、DeutschlandradioによりCD化されるそうなので、改めてじっくり聴き直すのが楽しみでならない。
MAREK JANOWSKI
Aga Mikolaj | Sopran
Iris Vermillion | Alt
Stuart Neill | Tenor
Arutjun Kotchinian | Bass
Iveta Apkalna | Orgel
Rundfunk-Sinfonieorchester Berlin
Rundfunkchor Berlin
Paul Hindemith
Sinfonie “Mathis der Maler”
Leoš Janáček
Glagolitische Messe für Soli, Chor, Orgel und Orchester
(Erstfassung von 1926/27, Herausgeber: Paul Wingfield)
1月23日に聴いたのは、日本でもおなじみのゲルト・アルブレヒト指揮の〈シンフォニエッタ〉。私はこの人の実演に接するのは確か初めてなので、かつてどういう指揮ぶりだったのかはわからないのだが、大分お歳を召されたなあというのが正直な感想。棒は時にやや安定感を欠き、コンサートマスターが必死にリードを取ろうとしているように見えた。演奏は、ヤノフスキとはかなり対極的。冒頭の金管のファンファーレは、オケの一部として座らせて吹かせていたし、3楽章中間部のフルート4本が荒れ狂う場面では、ほとんどインテンポでさらりと進むので正直拍子抜け。純音楽的というか、この曲の祝祭的でスペクタクルな要素を極力排した演奏に感じられた。ではつまらなかったかというと、そんなこともなく、内側から自然と音楽が沸き上がってくるところなどは捨てがたい魅力があったし、最後はやはりホール全体が高揚感に包まれた。とはいえ、私が実演で接することができた故マッケラスとラトルの演奏(どちらもベルリン・フィル)は、やはり特別だったと実感する。
余談だが、ホールでの休憩中と、終演後にクロークで待っている間、近くで誰かが〈シンフォニエッタ〉の冒頭部分を口笛を吹いているのが耳に入ってきた。多分別人だとは思うけれど、やはりあの冒頭のメロディーは誰でも一度聴いたら耳について離れないのですね^^。
ちなみに、それぞれ前プロに演奏されたヒンデミットの〈画家マティス〉とツェムリンスキーの〈叙情交響曲〉も充実した演奏だった。どちらもヤナーチェクの曲と初演が数年しか違わないのが興味深い。特に後者はバリトンのフランツ・グルントヘーバーの深い味わいのある歌唱が素晴らしかった。
GERD ALBRECHT
Camilla Nylund | Sopran
Franz Grundheber | Bariton
Rundfunk-Sinfonieorchester Berlin
Alexander Zemlinsky
Lyrische Sinfonie für Sopran, Bariton und Orchester op. 18
auf Gedichte von Rabindranath Tagore
Leoš Janáček
Sinfonietta für großes Orchester

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3 Responses

  1. Jasmine
    Jasmine at · Reply

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    こんばんは
    シンフォニエッタは確かに鼻歌うたえますよね
    昨年札幌交響楽団をエリシュカ指揮で聴きました
    かっこよかったー★

  2. berlinHbf
    berlinHbf at · Reply

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    Jasmineさん
    コメントありがとうございます。エリシュカ指揮札幌交響楽団のコンビは非常に評判がいいですね。彼らのチェコものを一度聴いてみたいです。そういえば、札幌交響楽団は5月にヨーロッパ公演を行うそうで、ミュンヘンとデュッセルドルフで演奏するみたいですよ。残念ながら、ベルリンには来ないようですが・・・

  3. Jasmine
    Jasmine at · Reply

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    エリシュカさんとチェコフィルとのマーラーも聴いてみたかったなぁ
    (ネトラジで聴けたのかもしれませんが、時既に遅し・・・・)
    札響といえば、そうなんです、私も先日欧州公演をするのを知りました~♪

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