カダケスへの道(3)

カダケスの中心部を望む(2012-03-24)
今回車で来てみてわかったことだが、カダケスはスペインの最東北端に位置し、周りの街から隔絶されているがゆえ、昔からの漁村の風景が手つかずのまま残ったのだという。現在の人口は2800人ほど。小高い丘の上に建っているのが16〜17世紀に造られたサンタ・マリア教会。
Port Alguer, 1923-24. Teatre-Museu Dalí, Figueres
上の写真とは反対側の場所からサンタ・マリア教会を望む風景を、ダリが1920年代に描いている。旅行前にこの絵の存在を知っていたら、同じ場所に立ってみたかった。おそらく街並はほとんど変わっていないはずだから。
ホテルでの朝食後、街を散歩する。ぽかぽかの陽気、ほぼ白一色に統一された住居群、細い路地、気持ちよさそにひなたぼっこしている猫たち…。決して長い時間ではなかったけれど、人間の等身大の感覚に沿うような構造でできているカダケスの路地を歩くのは、至福ともいえるほど心地いいものだった。
よく見ると、猫があちこちに・・・
カモメの白さも印象的。ホテルに戻って部屋のバルコニーからもう一度街を眺め、夢想した。執筆に集中するべきとき、こんなところに長期滞在して作業できたら最高だなあと。ここにはまたいつか戻ってきたいと思う。
カダケスーフィゲラス間は約33キロ。急勾配とカーブが多く、何度も絶景に見とれそうになりながらも、運転を任された私は慎重に下って行く。
この旅でもうひとつ念願の場所だったフィゲラスのダリ劇場美術館で、一堂ダリを再び堪能。最高でした(ここはよく紹介される場所なので、何枚か写真をご紹介するのみにします)。



美術館の閉館間際までいたので、フィゲラスを後にしたのは18時過ぎだっただろうか。ここからバルセロナまでは140キロほど。レンタカーのオフィスが閉まる22時までに車を返さなければならないとはいえ、まだ十分余裕があるはず。実際、高速道路を走っているまでは順調だったのだが、少し手前のインターで降りてしまったところから暗転する。行きの教訓から、途中のドライブインで道路地図は買っていたものの、自分たちがどこにいるのかさっぱりわからない。そのうち、行きにバルセロナを出る際にはまり込んだ中国語の看板が目立つ倉庫街の中に入ってしまったようで、気持ちを落ち着かせガソリンスタンドで道を尋ねるも、そこからバルセロナ市内に戻るのにさらに一悶着あった。ローマ時代からの歴史を持つ地中海都市はこうも複雑な構造をしているのか。それなりの方向感覚は持っているつもりだったが、目的地を目前にこんなにも迷宮に入り込んだのは他にそうない経験だった。翌朝バルセロナを発つことになっていたので、「車を返せなかったらどうしよう」という不安が高まる中、結局22時を10分ぐらい越えてサンツ駅屋上の駐車場に到着。絶望的な気分でとりあえず車を止め、これからどうしようかと思っていたところ、近くにおじさんがいたので恐る恐る歩み寄って聞いてみた。
「車の鍵?ああ、そこのボックスに入れておけばいいんだよ。それでおしまい」
「え?・・・」( ̄◇ ̄;)
カダケスの海と街並、ダリの空想と色彩に彩られた旅は、「なんでこんなことを最初に確認しておかなかったのか」という徒労感を最後に味わうことになるのでした。しかし、今年忘れられない旅のひとつです。
(おわり)

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