カダケスへの道(1)

日本からのお客さんが立て続けにやって来て、とても慌ただしかった3月。中旬には母がお友達2人を連れてベルリンを訪れ、一緒にバルセロナに行って来ました。中でも印象深かった、バルセロナからカダケスという街に小旅行で行ってきたときのことを記しておきたいと思います。
3月23日、サンツ駅でレンタカーを借りて、スペインでの初ドライブが始まった。運転は私。バルセロナから170キロほど離れたカダケスという小さな漁村に行くことになったのは、一昨年自転車でヨーロッパを回った下の弟が、ダリの故郷フィゲラスにあるミュージアムに行って大きな刺激を受け、それを母に話したことがきっかけだったようだ。バルセロナから1泊の日程で、フィゲラスのほか、ダリの「卵の家」があるカダケスにも行ってみようということになったのだ。
とはいえ、フィゲラスもカダケスも、ほとんど予習していなかった私。車にはナビが付いておらず(数日前、同じ会社のベルリン支店でまったく同じクラスの車を借りたときはちゃんと付いていたのだが)、しかも、スペインの道路地図さえ持っていなかった。まあ、2都市の大体の位置関係はわかる。弟が勧めていた風光明媚な海沿いの道を走りながらフィゲラスに行き、ダリのミュージアムを見て、夕方カダケスに到着、という大ざっぱなプランを考えていた。
が、最初の誤算だったのが、バルセロナの市内から抜け出すこと。この街には一昨年の夏、ある雑誌の取材で1週間滞在し、自転車でも周り、土地勘もある程度はあるつもりだった。が、車と自転車とではやはり違う。道が細かったり、方向転換をしようにもUターンできる道が1つおきしかなかったり、そうこうするうちに次第にどこを走っているのかわからなくなってくる。ようやくディアゴナール大通りに入った。ゆるやかな坂を下っていくと左手にサグラダ・ファミリアが見え、母曰く「東京モード学園みたい」というあの有名な円錐形の現代建築を横目に、そろそろ海沿いの道が見えてくるはず、と思いきや、今度はやたら中国語の看板が目立つ倉庫街に入り込んでしまったようで、風光明媚な道にはいつまで経ってもたどり着かない。ガソリンスタンドで道を聞いた時点で海沿いの道は諦め、高速道路で行くことに。市内に戻って高速に乗るまでさらに一悶着あり、ようやく高速道路に入った時は、車を借りてからすでに2時間が経過していた・・・。
ドイツに比べるとカーブは多いものの、高速道路に入ってからは快適だった。フィゲラスのインターで降り、ダリのミュージアムは明日に回すことにして、何はともあれカダケスに直行。「卵の家」はガイドツアーのみ見学が可能になっていて、最終の17時10分に予約をしていた(ただし、チケットの発券はその30分前に済ます必要がある)。それを逃すわけにはいかない。ロザスという街への分岐点を越えたあたりから、山越えに入る。ジグザク状に左右に揺られながら、山の頂上を越え、やがて下りに入り、右手にカダケスの白い家々が視界に入った時はさすがにほっとした。ダリの「卵の家」は、一旦街の中心部を抜け、海沿いの道をうろうろ走っている最中、突如前方に現れた。一同「あったー」と大興奮。何とか入場の30分前に申し込みを済ませ、中に入るまでの間、卵の家の前で出会ったネコとしばらく遊んでいた。

(つづく)



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