今回の出張では写真はわずかしか撮っていないのですが、駆け足で振り返ってみたいと思います。まずこちらは、エッセンのツォルフェライン旧炭鉱跡 (Zeche Zollverein)。ご覧のように、バウハウスの影響を受けた建物のデザインから「世界一美しい炭鉱」などと呼ばれ、世界遺産にもなっています。昔の建物はほとんどそのまま残し、美術館、コンサート会場、夏はプール、冬はスケートリンク、などといった具合に再利用され、巨大な文化施設に生まれ変わっています。その規模たるや圧巻。入場は無料ですが、ある程度言葉がわかる方はガイドツアーに参加することをおすすめします。いくら建物のデザインはすぐれていても、炭鉱の労働条件は最悪だったそう。ドイツの高度成長を支えたルール地方、そこでの労働者がどういう環境で汗水を流していたのかが五感で伝わるようになっていて、感銘を受けました。
炭鉱に隣接したコークス工場。
2日間車を運転してくれたトルコ人のドライバーさんは、父親がやはりあの時代出稼ぎでドイツに来たそうで、この地域にまつわる話をいろいろ聞かせてくれました。ちなみに、彼の息子さんはU17のトルコ代表にも選ばれているサッカー選手。ひょっとしたらこれから有名になるかもしれないので、Tolga Erginerという名前を覚えておこうと思います。
ルール地方には、炭鉱時代のボタ山がいくつも残っていて、頂上にユニークなモニュメントを置いて人目を引いているものがあります。これはボットロップという町にあるTetraederなるもの。手前の人影と比べれば、どれほどの大きさかわかると思います(高さは50メートル!)。高所恐怖症の人でなくても、てっぺんまで上るには勇気がいりそう^^;)。時間が限られていたこともあって、私は遠慮しました。
ボタ山からの眺め。ルール地方の風景は基本的にこんな感じです。地味でどこか殺伐としているという印象は否めません。トルコ人のドライバーさんは、「このルール地方がドイツを今のドイツにしたんだよ」と何度も言っていましたが、これもまた納得。中央の丸い筒のような建造物はオーバーハウゼンのガスタンクで、ヨーロッパでも最大級の規模。現在はアートスペースに生まれ変わっていて、„Sternstunden – Wunder des Sonnensystems”という太陽系をテーマにした展覧会は一見の価値があるものでした(月のインスタレーションがすごかった)。
やはり近年再開発されたデューイスブルクの内港(Innenhafen)。昔の倉庫を改装した古い部分と対岸の現代建築とのコントラストは、ベルリンをもどことなく想起させます。
デュッセルドルフ近郊のノイスという街のさらに外れにあるランゲン美術館。安藤忠雄の建築。かつてNATOのロケット基地だったという平原にぽつんと建っているのですが、ここは本当に行ってよかったです。月曜日もオープンしているのがありがたかった。
最後に訪れたフランクフルト・アム・マインは、ちょうどLuminaleという光の祭典が開催中で、街の多くの場所がアーティスティックなイルミネーションで彩られていました。旧市街のレーマー広場にて。
今回お世話になった方々は無事日本に飛べたのか、それがちょっと気がかりです。
SECRET: 0
PASS:
こんにちは。
ルール地方が好きな私にとってどれもとても興味深い写真です。
ボットロップとかオーバーハウゼンとか行ってみたいです。産業遺産が芸術と融合しているところがドイツらしくていいなと思います。
SECRET: 0
PASS:
こんにちは。
ルール地方は今年の欧州文化首都ですよね。
大阪のゲーテでもらって来た「deutschland」にも特集が載ってました。
6月~7月にドイツに行く予定なので、ルールも行きたくなりましたが
Bonnから行ってみようかな。
SECRET: 0
PASS:
reisigfeldさん
> 産業遺産が芸術と融合しているところがドイツらしくて
これは私も感じました。夜になると斬新なイルミネーションで彩っているデューイスブルクの旧製鉄所などもありました。劇場や美術館も興味深いものが多いので、私もまた行きたいと思っています。
SECRET: 0
PASS:
MAYUさん
>大阪のゲーテでもらって来た「deutschland」にも特集が
Ruhr2010のサイトから各国語版をダウンロードできるので、私も読みましたが、とてもいい内容でしたね。夏は野外のイベントも多いでしょうし、ぜひ足を運ばれてみてください。